内臓脂肪と遺伝子の関係



花王株式会社生物科学研究所は、自治医科大学分子病態治療研究センター人類遺伝学研究部と共同で、内臓脂肪蓄積量と消化管ホルモンの遺伝子との関係性についての試験を行い、この2つに関連性があることを明らかにしました。

 

消化管ホルモンGIPの働き

研究結果についてお話しする前に、消化管ホルモンと肥満について解説しておきましょう。

我々が食事を取ると、食事中の糖類はブドウ糖として血中に取り込まれ、一時的に「血糖値が高い」状態になります。血中のブドウ糖は、インスリンというホルモンによって脂肪細胞に取り込まれるため、通常は血糖値は上がりすぎることはありません。このインスリンの分泌を促すのが、消化管ホルモンのGIPです。GIPにはインスリンの働きを良くする働きもあり、GIPの存在によって血糖値を下げるシステムは効率的に機能することになります。

脂肪細胞に取り込まれたブドウ糖は、中性脂肪となって蓄積されます。また、取り込まれたブドウ糖の分だけ脂肪細胞は膨らむので、GIPが過剰に分泌される(すなわち、インスリンも過剰に分泌される)ことで、肥満が進行すると考えられています。

 

内臓脂肪蓄積量とGIP・GIP受容体の遺伝子多型保有数

さて、同社が公開した研究結果のお話に戻りましょう。

共同研究では、健康診断を受診した日本人3,013人(男性1,621名、女性1,392名)を対象に、内臓脂肪蓄積量と、GIPおよびGIP受容体の遺伝子多型の保有数の関連性を調べています。

身長・体重からBMI値を算出し、内臓脂肪計(インピーダンス法)で内臓脂肪量を測定。また、遺伝子多型は血液を採取し、分析しています。その結果、GIPおよびGIP受容体の遺伝子多型保有数が多い人ほど、内臓脂肪蓄積量が多いことが明らかになりました。

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(花王株式会社webサイトより)

 

遺伝子多型とは

体内の組織は、DNA上の遺伝情報(ゲノム)を基にしてして作られています。DNAは4種類のアミノ酸で構成されており、アミノ酸の並び順(配列)で遺伝情報は表現されています。当然、この記事で述べている消化管ホルモンGIPも、特定のアミノ酸配列(=遺伝情報)を基に作られています。
ですが、稀にあるアミノ酸が別のアミノ酸に置き換わるなど、一般的でない遺伝子が存在する場合があり、このような一般的でないものを遺伝子多型といいます。(原則として、人口の1%以上に存在する場合は『遺伝子多型』、それより少ない場合は『変異』といいます)
この記事で紹介した研究では、GIPとGIP受容体の遺伝子多型の保有数と、内臓脂肪蓄積量の関係について調査しています。

 

花王株式会社プレスリリース

自治医科大学との共同研究で日本人の内臓脂肪蓄積に影響する遺伝子多型を発見


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