腸内フローラの影響は「肥満」にも!?



健康と腸内フローラの関係

近年、腸内フローラの研究が格段に進歩し、腸内フローラ(腸内細菌叢/ちょうないさいきんそう)と健康の関係が明らかになりつつあります。

腸内フローラは「がん」「糖尿病」「うつ」などに影響を及ぼすことがわかってきていますが、このコラムでは今ホットな研究結果である「『肥満』と腸内フローラの関係」にスポットをあててご紹介します。

体内の器官

 

腸内フローラ「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」

ヒトの腸内には、一人当たり数百種類の腸内細菌が100兆個以上も生息しています。

腸内細菌は、ビフィズス菌などの「善玉菌」、ウェルシュ菌などの「悪玉菌」、そして、どちらにも属さない「日和見菌」に大きく分類されます。「悪玉菌」は、アンモニアやアミン、硫化水素、発がん物質をだします。「善玉菌」は有機酸をだすことで悪玉菌を減少させ、その結果アンモニアなどの有害物質を減らします。

つまり、『善玉菌を増やすこと』が腸内フローラ改善、腸内菌叢改善につながります。ちなみに、この腸内フローラという言葉の語源として、腸内細菌が腸内で群れをなす姿がお花畑に見えるからという説もあります。

 

肥満と腸内フローラ

近年、腸内フローラも肥満に関与することがわかってきました。肥満は容姿だけの問題ではありません。健康に多くの悪影響を及ぼします。特に、内臓脂肪型の肥満は、2型糖尿病、脂質異常症、メタボなど様々な疾病に関わっています。

 

肥満体型と普通体型では腸内フローラがちがう!

肥満体型のマウスは正常体型のマウスと比較すると腸内フローラが大きく異なることがわかっています。具体的には肥満体型のマウスにはBacteroidetes(バクテロイデス)門とよばれる細菌が少なく、Firmicutes(フィルミクテス)門とよばれる細菌が多いです。

この違いは、遺伝的要因で肥満体型のマウスにおいても、高脂肪の食事による肥満体型のマウスにおいても同様でした。

肥満体

 

肥満をもたらす腸内細菌がいる!

肥満だから腸内フローラが異なるのか、それとも腸内フローラによって肥満がもたらされるのでしょうか?

その疑問を解き明かすために、腸内細菌をまったく有しない無菌マウスに、肥満マウスの糞便を移植するという実験が行われました。その結果、肥満マウスの糞便を移植すると体脂肪率が増加するという結果になりました。つまり、腸内フローラが肥満に関与する因子の一つであることが証明されたのです。

 

 

「機能性食品」で腸内フローラを改善する!

腸内フローラを改善するにはどうすればよいでしょうか?

それは、おなかの調子を整える食品を摂取することです。おなかの調子を整える食品として、プロバイオティクスやプレバイオティクスという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?

プロバイオティクスはヨーグルトなどに含まれている乳酸菌やビフィズス菌を食品から摂取することで腸内フローラを改善します。一方、プレバイオティクスは、すでに腸内に生息しているビフィズス菌などのエサとなるオリゴ糖などを摂取することで、腸内菌叢を整えます。

発酵大麦エキスは、ビフィズス菌や乳酸菌のエサとなる成分を含んでいます。また、マウスを使った実験では、発酵大麦エキスを摂取させると、腸内の有機酸が増加することもわかっています。

現在、発酵大麦エキスが腸内フローラにどのような影響をあたえるのか、さらなる研究が進められているところです。


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