ストレスとの上手な付き合い方
現代はストレス社会
現代は「ストレス社会」と言われています。
技術革新により、経済、産業、医療は、飛躍的に発展し、現代の日本では、「飢餓」「事故」「伝染病による死」など、直接的に生命の危険に関わるようなストレスにさらされる機会はずいぶんと少なくなりました。しかし、その反面、高度に入り組んだ社会のシステムの中で、多くの人が様々なストレスを感じるようになっています。
厚生労働省が5年に1回行っている「労働者健康状況調査」によれば、「ビジネス関連でストレスを感じている労働者の割合」は、1982年から2012年の20年間で50.6%から60.9%と実に10%も増加しています。ストレスの具体的な内容については「人間関係」によるものが約5割を占めています。また急速なIT化による様々なツールの出現は便利である反面、友人同士のメールやSNSなどでも、迅速な返信「即レス」を求められたり、SNS等での呼びかけに返信をしない「既読スルー」によって信頼関係を損ねたりするなど、人間関係に影を落とす新しい問題も生じてきており、その影響は特に若年層でみられることから、もはや「ストレス」は現代社会に生きるすべての人が抱えているものと言っても過言ではありません。
ストレスとは?
もともとは、物理学上の用語で、「物体の外側からかけられた圧力によって歪みが生じた状態」を言います。風船を例にすると「風船を指で押さえつけて歪んだ状態」を指します。この「指で押さえつける力」に相当するものが「ストレッサー」と言われます。
私たちの心や体に影響を及ぼすストレッサーには、「物理的ストレッサー」(暑さや寒さ、騒音や混雑など)、「化学的ストレッサー」(公害物質、薬物、酸素欠乏・過剰、一酸化炭素など)、「心理・社会的ストレッサー」(人間関係や仕事上の問題、家庭の問題など)があります。普段私たちが「ストレス」と言っているものの多くは、この「心理・社会的ストレッサー」のことを指しています。
風船を指で押さえつけると、元に戻ろうとする力=応力が生じます。人間にも同様にストレスがかかった時、「元に戻ろうとする反応(ストレス反応)」が起きます。
これが上手く機能している時は、心理面、身体面、行動面のストレスは次第に低下していきます。しかし、風船もあまり長く押さえつけるとゴムが伸びたり、空気が抜けたりして元に戻らなくなるように、人間も対処能力を超えたストレッサー、もしくはストレッサーに長く晒されることによって、元に戻らなくなります。「よく眠れない」「イライラする」「不安感だ」「やる気がでない」など、こういった状態が2週間以上続く場合は、ストレスに上手く対処できていないサインです。そのまま放っておくと、ストレス性の疾患など治療が必要なレベルになってくる可能性もあります。
ストレスに上手く対処するには?そしてちょっと専門的な話
最も有効な手段はストレッサーそのものを排除することです。
しかし現代社会には大変多くのストレッサーがあり、また「既に起こってしまったこと」がストレッサーになっている場合は、排除することそのものができません。つまり全くストレスを感じずに生きるということは難しいのです。従って、受けたストレスを軽減していくことが必要になります。
ストレスを軽減するには、休憩・癒し(Rest/レスト)、レクリエーション(Recreation/趣味)、リラクゼーション(Relaxation/リラックス)の「3R」が重要と言われています。とはいえ、「疲れていて、とてもそんな気になれない」という方々のほうが多いのではないでしょうか?そこで視点を変えるため少し専門的な話をしたいと思います。
私たちが何らかの刺激を受けたとき、コルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールは朝起きた時、光の刺激などで覚醒作用をもたらすなど、体の中で重要な働きをするホルモンです。このコルチゾールは、大きなストレスにさらされると分泌量が増加し、また、長くストレスにさらされ続けると、分泌され続けるため、夜眠れなくなるなどの弊害が起こります。また、体が慣れてしまい少量のコルチゾールでは効かなくなり、寝起きが悪くなることもあるなど、それまで体が備えていたバランスが崩れていきます。
ですから、コルチゾールの過剰分泌を減らし、ホルモンバランスを正常にするという内分泌系側面から、積極的に「3R」を行い、良い循環を生み出すことが、私たちの心と体にとって大切なのです。
またコルチゾールの過剰分泌を抑えるには、睡眠も大切です。アロマオイルやサプリメントなど、良質な睡眠を促すグッズを利用するのも良いのではないでしょうか?安眠・休息サプリメントの素材としては、グリシン、トリプトファン、ギャバなどが有名ですね。
うつになってしまったら
「うつは心の風邪」と言われています。風邪にも日常生活に支障をきたさないものから、放っておけば重篤な症状となるものまで、様々な度合いのものがあります。
「こころの不調」も同じです。風邪と同じくらい罹る人も多く、その度合いも様々です。ですから風邪をひいたら病院に行くように、「おかしいな?」と感じたら早めに専門家(精神科・心療内科)に相談するようにしましょう。
参考:厚生労働省「こころの耳」