脳機能改善に関する最新の研究
できていたことができなくなったり、知っていたものがわからなくなったり、「認知症」という疾患は、本人にとっても周りの人にとってもつらいものです。また、実際に認知症の状態にある人は、日常の様々なことが不確定になり、不安の多い日々を過ごすことにもなるでしょう。
残念ながら、現在の医学では「認知症を予防する」確実な方法は見つかっていませんが、脳機能低下と認知症発症の関連性も少しずつ明らかになってきています。
今回は、5月に発表された脳機能の改善に関する最新の研究についてお伝えします。
脳機能改善、チョコレートに期待大!
愛知県蒲生市、愛知学院大学、株式会社明治は、先月19日、チョコレートの摂取後、うつ病や認知症との関係が指摘されるBDNF(脳由来神経栄養因子)が増加したという、共同実証実験の結果を発表しました。
実証実験は、45~69歳までの市民ら347人(男性123人、女性224人)に4週間、カカオの含有量が70%以上のチョコレートを毎日25グラム食べてもらい、前後の血圧や血液成分を比較する方法で行われました。
この結果、4週間後には血液1ミリリットル中のBDNFが平均6.07ナノグラムから7.39ナノグラムに増加したことが明らかになったそうです。
ミルクセラミドに脳機能改善効果
雪印メグミルク株式会社は、先月14日に開かれた第12回アジア栄養学会議で、『ミルクセラミドMC-5』に脳機能改善効果が見られたことを発表しました。
『ミルクセラミド MC-5』は、雪印メグミルク株式会社の独自素材で、牛乳に含まれるスフィンゴミエリン(SPM)を濃縮したもの。SPMは脳神経の構成成分の1つであることがわかっています。
研究では、『ミルクセラミドMC-5』を含んだ試料を14日間にわたってラットに与え、新奇物質認識試験(動物の学習による記憶を評価する試験)により学習後の記憶力 を調べました。その結果、学習後2日目の記憶力が向上したこと、記憶学習能や神経細胞の機能維持に関係すると される NGF の脳内濃度が増加していたことが明らかになったそうです。
記憶や身体機能が失われていく認知症は、誰もが怖れ、予防したいと思う疾患の1つです。まだ決定的な方法は見つかっていませんが、今回ご紹介したように、様々な企業や学術機関で克服の方法は日々研究されています。
大切な記憶を失うことのない日が、早く訪れるといいですね。