プリン体の吸収を抑える乳酸菌
去る6月17日、東京都港区にて、「暑い季節、汗をかいたら痛風・高尿酸血症にご注意 ~プリン体に直接作用する乳酸菌の力~」と題して、マスコミ向けセミナーが開催されたそうです。
乳酸菌でプリン体の吸収を抑えられるかも!尿酸値との関係を試験(Asahi Shinbun Digital[and])
このセミナーでは、東京女子医科大学の山中寿氏教授、帝京大学薬学部臨床分析学研究室の金子希代子教授が登壇。プリン体と高尿酸が招く疾病との関係性や、それを踏まえた痛風などの予防策、プリン体の吸収を抑える乳酸菌についての講演が行われました。
プリン体は痛風や高尿酸血症の原因物質として広く認知されていますが、食品に含まれるだけでなく、人間も含めて様々な細胞の核に存在しています。プリン体の種類は1つだけではなく、DNAを構成するアミノ酸の一部や、体内でのエネルギー供給源となるATPを構成するアデノシンなどもプリン体の一種で、プリン体は生命活動において必要不可欠なものなのです。
プリン体は分解されると尿酸になりますが、通常尿酸は尿として体外に排出されるため問題にはなりません。ただし、血中の尿酸濃度が高くなりすぎると、尿酸が結晶化し、痛風や尿管結石、腎機能の低下など、様々な弊害をもたらします。
尿酸濃度が高くなる原因は様々ですが、発汗が増え、尿量が減る夏の時期は特に注意が必要とのこと。体内水分量が減ることで尿酸値が上がりやすく、尿としての排出量も抑えられてしまう上、飲酒の機会が増えることもあって、夏になると痛風の発症者も増えるそうです。
尿酸の基となるプリン体を減らす手段はないものか、ということで紹介されたのがLactobacillus gasseri PA-3という乳酸菌。(以下PA-3株)
株式会社明治が発見したPA-3株は、プリン体の代表的な3つの構造(ヌクレオチド、ヌクレオシド、プリン塩基)に直接作用する乳酸菌で、
- プリン体を吸収されにくい形に分解する
- 腸管内でプリン体を取り込む
- プリン体を増殖するための栄養源として使う
という3つの特徴を持ち、食事由来のプリン体の吸収量を抑える可能性が指摘されています。
(参考)乳酸菌PA-3株と作用メカニズム (株式会社明治のwebサイト)
セミナーでは、このPA-3株入りのヨーグルトを使った試験結果についても紹介されました。
尿酸値が高めの人を対象とした試験では、PA-3株入りのヨーグルトを摂取した人は、そうでなかった人に比べて尿酸値が低くなったそうです。また、痛風患者を対象とした試験でも、PA-3株入りのヨーグルトを摂取した人は、そうでなかった人に比べ、薬をやめたときの尿酸値の上昇が抑えられたとのこと。
今後の痛風・高尿酸血症治療に期待の持てる結果と言えそうです。
痛風や高尿酸血症の予防には、過度なプリン体の摂取を抑える必要があります。ですが、プリン体が多く含まれる美味しいものを制限するのはなかなか辛いもの。健康的な食生活を実践したり、過度な飲酒を控えるのはもちろんですが、乳酸菌PA-3株によって、よりストレスのない食事療法が実現できるといいですね。
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