機能性表示食品の公開情報を見てみよう



機能性表示食品制度の運用が始まって2ケ月、各社の商品が市場に並び始めています。
機能性表示食品は、特定保健用食品(トクホ)より簡便な手続きで、事業者の責任によって健康機能の表示が可能になるため、これまで費用・時間の面でトクホの取得が難しかった中小企業からも、様々な商品が発売されると目されています。

トクホよりも簡便な手続きとはいえ、事業者が消費者庁に届け出るのは機能性についての科学的な根拠で、機能性・安全性に関する情報の開示も義務付けられており、信頼性は確保されています。
公開情報のうち、有識者向けのものは研究論文など読みこなすのが難しいものですが、一般向け公開情報として概要的な情報もまとめられており、こちらは消費者にとっても比較的理解しやすいものになっています。

 

一般向け公開情報として開示されている情報は、下記の4部構成になっています。

  • (概要の情報)
  • 安全に関する基本情報
  • 生産・製造および品質管理に関する基本情報
  • 機能性に関する基本情報

 

概要の情報について

商品名、商品の区分、機能性関与成分、表示しようとする機能性、届け出者名、本資料の作成日、当該製品が想定する主な対象者の7項目で構成されます。

概要の情報では、商品にどのような健康機能があり、具体的に何の成分が機能性を示すのかが分かるようになっています。

機能性表示食品は基本的に食品であり、特定の疾患が治ったり症状が軽くなったりという薬のような効果を持つものではありませんので、誰でも食べることができるものですが、その商品が対象としている人についても記載されていますので、自分自身に効果がありそうかどうかの参考にしてもいいでしょう。

なお、機能性表示食品は、何らかの持病を持つ人、妊産婦、授乳中の人はそもそも対象外となっています。

 

安全に関する基本情報について

安全に関する基本情報では、商品利用を原因とした健康被害などがないこと、その根拠について記載されており、安全性の評価方法、当該製品の安全性に関する届け出者の評価、摂取する上での注意事項の3項目で構成されます。

安全性の根拠となるのは、商品や機能性成分の販売実績や、安全性に関する既存の調査・研究結果、商品に対して行われた安全性試験等です。当該製品の安全性に関する届け出者の評価の項目に、実績、調査・研究結果、安全性試験結果等の概要が記載されます。

他にも、例えば大量に摂取するとお腹が緩くなる、アレルギーの特定原材料を使用しているなど、健康面で注意すべきことなども明記されます。

 

生産・製造および品質管理に関する基本情報

商品がどのように生産・製造されているか、具体的には、工場などで採用されている品質や安全を管理する手法(GMP、HACCP、ISO22000、FSSC22000など)や、これらの基準に準拠していることを示す認証の有無が記載されます。

機能性表示食品では、認証は必ずしも必要ではありませんが、現在届け出が受理された商品は全て何らかの認証を取得しているようです。

また、消費者庁より、加工食品のうちサプリメント形状のものはGMPによる自主取組の下で製造されることが強く推奨されています。

機能性に関する基本情報

機能性に関する基本情報では、その商品に特定の機能性があるとする科学的な根拠が記載されており、①機能性の評価方法、②当該製品の機能性に関する届け出者の評価の2項目で構成されます。

①機能性の科学的な根拠は、商品を使っての臨床試験か、商品または機能性関与成分の研究レビューによって示されます。

  • 臨床試験とは、人を対象とした試験のことで、商品の効果を検証する試験としては最も信頼性の高い試験です。
  • 研究レビューとは、肯定・否定の結果を問わず、関連する臨床試験の研究論文を集めて総合的に判断する手法のこと。商品を販売する企業が作成した論文、否定的な結果も合わせて判断材料とされるため、信頼性の高いものと言えます。

また、②当該製品の機能性に関する届け出者の評価は、下記のフォーマットに沿って記載されます。

(ア)標題:試験や研究レビューのタイトル
(イ)目的
(ウ)背景(この試験・研究を行うに至った経緯)
(エ)レビュー対象とした研究の特性(研究レビューの場合のみ)
(オ)主な結果
(カ)科学的根拠の質

 

機能性表示食品制度はまだ運用開始から日が浅く、現在市場に出ている商品も少なめですが、先行して始まった制度であるトクホよりも手続きが簡便なことから、今後も商品数が増えていくことが予想されます。開示された情報を正しく理解し、自分自身に合った商品をうまく活用し、健康増進に生かしていきたいものですね。


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