腸内フローラ改善でスッキリ生活



厚生労働省が実施した国民生活基礎調査(平成22年)によると、便秘に悩む人は約900万人ほどいるそうです。調査方法は異なりますが、1989年に当時の厚生省が調査したところによると、便秘人口は約500万人程度だったということですから、この20年で便秘人口は2倍弱まで増えた計算になります。

厚生労働省 平成22年国民生活基礎調査の概況(統計表)

便秘というと若い女性が悩む症状というイメージが一般的ですが、先の調査結果では、男性では50代以降になると便秘を自覚する人が増え始め、高齢になればなるほどその数が増えていることがわかります。
便秘を実感している900万人のうち、女性は約600万人なのに対し、男性はその半数の約300万人程度と、女性の方が多くはありますが、意外にも男性にも便秘に悩む人が多くいるのです。

 

便秘になると、ニキビや吹き出物などの肌荒れ、口臭や体臭の悪化、腹痛や膨満感、食欲不振、吐き気、倦怠感など、様々な不快な症状を来します。それぞれが激しい痛みを伴うなどの緊急性が高い症状ではないこと、お通じがあれば解消するのだから…という気持ちもあって、ついつい放置しがちになってしまう方も多いのではないでしょうか。

数週間~月単位でお通じがないなどのよほどの重症でない限りは、直接的に便秘が命に関わることはありませんが、便秘が続くと生活の質は著しく下がってきます。体の不調が長引くことでストレスが溜まり、さらに便秘を悪化させる…という悪循環にもなりかねません。

 

便秘の原因

私たちが食べたものは、胃、小腸、大腸と進んで、最後に便となって排泄されます。

胃や小腸は、食べたものを小さくする働きを担っており、小腸の出口付近では、食べたものはドロドロとした液状にまで消化された状態になっています。栄養素の吸収は小腸で行われており、大腸ではほぼ液状になった食べたものの残りかすから水分を吸収し、固形化しながら送り出していきます。

残りかすを送り出すため、腸は自律的に膨らんだり縮んだりを繰り返していきますが、この腸の動きを「ぜんどう運動」と言います。便秘の直接的な原因として一番多いとされているのが、このぜんどう運動の弱まりによるもの。女性に便秘が多いのも、男性に比べて腹筋が弱く、ぜんどう運動も小さいことが一因と言われています。

この他にも運動不足やストレスなどからくる腸の過度な緊張なども、ぜんどう運動を弱める原因となりますが、腸内フローラの悪化も便秘を招く原因になります。

 

腸内フローラを改善して便秘を解消

腸内フローラの影響は肥満にも?でも述べていますが、腸内には乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌、大腸菌やウェルシュ菌などの悪玉菌、どちらにもなりうる日和見菌が住んでいます。

悪玉菌は脂肪やタンパク質などをエサとし、アンモニア、フェノールアミン、硫化水素などの有害物質を発生させます。これらは大腸の運動を弱らせるため、便は長時間腸内に留まることになります。こうなると、便は水分を失って固くなり排出が困難になりますし、便の滞留自体が悪玉菌の繁殖を促し、腸内フローラの更なる悪化を招く悪循環となってしまいます。

 

腸内フローラを改善するためには、善玉菌の繁殖を促し、善玉菌が優勢となる状態を作る必要があります。善玉菌の餌となるものとして有名なのがオリゴ糖。ブドウ糖や果糖などと違って小腸で吸収されにくいため、大腸に住むビフィズス菌や乳酸菌が好んで利用する栄養素です。

また、水溶性・不溶性の食物繊維も重要です。水分を吸って膨らむことで腸内での便の移動をスムーズにしたり、腸を刺激してぜんどう運動を活発にしたりする働きがあります。

 

便秘の原因が様々あるように、便秘解消の方法も1つではありません。ただ、現代日本人の食生活が欧米寄りになっていることは明らかです。

肉や脂肪も必要な栄養素ですので極端に減らしてはいけませんが、これまでよりも少し多めに野菜を摂ったり、デザートはオリゴ糖入りのヨーグルトなどに変えてみたりするなど、無理のない範囲で腸内フローラの改善を心がけてはいかがでしょうか。


関連記事