注目の成分フィトケミカルとは



2015年4月から機能性表示食品制度が運用開始され、いくつかの商品については、既に販売が始まっています。

機能性表示食品制度では、加工食品だけでなく、生鮮食品も対象となっており、特定の健康成分の安全性・健康効果に関する科学的根拠を示したうえで、その成分を含む食品を健康効果の高い食品として販売できるようになります。

例えば農林水産省が公開している資料では、「β-クリプトキサンチンを含む温州みかん」を例として、β-クリプトキサンチンの安全性・健康効果に関する科学的根拠の下、「本品はβ-クリプトキサンチンを含み、 骨の健康を保つ食品です。更年期 以降の女性の方に適しています。」と表現することが可能であるとしています。

現在はまだ機能性表示食品の届出がなされた生鮮食品はありませんが、健康成分が豊富な野菜類などは、機能性表示食品として販売されるようになるかもしれませんね。

 

注目の健康成分、フィトケミカル

野菜の健康成分として最近注目されているのが、フィトケミカル(phyto chemical)です。phytoは「植物の」、chemicalは「化学物質」という意味で、植物由来の様々な成分のことを指します。

フィトケミカルは、糖質・脂質・タンパク質の三大栄養素やそれを補助するビタミン・ミネラルなどの、必須の栄養素ではありませんが、抗酸化力や免疫力の向上など、健康維持・改善に役立つ成分として非常に期待されています。

特に注目したいのが、フィトケミカルが持つ抗酸化力。現在発見されているフィトケミカルは約1500種と、非常に多くの種類が知られているのですが、その多くが抗酸化力を示すと言われています。

 

様々な食品に含まれるフィトケミカル

前述のとおり、フィトケミカルには様々な種類があり、また、今後さらに多くの種類が発見されることが期待されています。

フィトケミカルはそもそも、環境が悪化しても自力で移動することができない植物が、自己防衛のために獲得した成分ですので、様々な野菜や果物に含まれているのですが、ここでは代表的なフィトケミカルのほんの一部と、それを含む食品についてご紹介します。

 

  • カテキン
    ワイン、お茶、リンゴ、ブルーベリーに多く含まれるフィトケミカル。血圧上昇抑制、血中コレステロール調節、血糖値調節など、様々な作用が確認されています。
  • アントシアニン
    ブドウの果皮、ブルーベリーなどに含まれるフィトケミカル。肝機能の向上、疲れ目の解消などの作業があるとされています。
  • イソフラボン
    大豆に多く含まれるフィトケミカル。エストロゲンと同様の働きをする成分として、女性に人気があります。
  • リグナン
    ゴマに多く含まれるフィトケミカルで、セサミンもリグナンの一種。抗酸化力や炎症を軽減する作用があり、また、腸内細菌によってエストロゲンと同様の働きを持つ成分に変わることができます。
    今流行の亜麻仁油にも多く含まれています。
  • β-カロテン
    緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイドの一種。粘膜や皮膚の修復促進、免疫機能の向上などに必要な成分です。体内では必要量に応じてビタミンAに変換され、ビタミンAとしても作用します。
  • リコペン
    トマト、ニンジンなどに多く含まれるフィトケミカル。抗酸化力が強く、同じくフィトケミカルのβ-カロテンの2倍、抗酸化物質としても知られるビタミンEの100倍の抗酸化力を持っています。

体の酸化は、様々な老化の原因とも考えられており、老化に伴う病気の遠因とも言えます。

生きている限り体は酸化を免れませんが、抗酸化物質を上手に取り入れて酸化スピードを遅らせ、いつも生き生きと暮らしていきたいですね。


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