肝臓の疲れに注意
突然ですが、今、あなたは疲れていませんか?
休日出勤や残業続き、職場やプライベートの人間関係、気乗りのしない飲み会や接待など、私たちの日常には、疲れの原因になることが溢れています。
そんな日常の中にいますから、大なり小なり、私たちが疲れていることは珍しくありません。ただし、体のだるさ、倦怠感、脱力感が数か月続くようなら、肝機能低下のサインかもしれません。
食事のバランスが乱れていたり、毎日の飲酒量が多めだったりという方は勿論ですが、そうでない方でも、様々な原因で肝臓は疲れをためていることがありますので注意が必要です。
働き者で丈夫な臓器
先日の記事 体内一の働き者、肝臓の機能 でも紹介したように、肝臓には様々な機能があります。最も特徴的なのが、糖・脂質・タンパク質の代謝機能、解毒機能、胆汁の生成・分泌機能ですが、他にも私たちが健康に生活していくための様々な機能がありました。
しかも、生命維持に直結する機能を数多くになっているため、肝臓は非常に丈夫にできていて、例えば健康な肝臓であれば、半分から2/3を切除しても、半年程度で元の大きさまで回復することができます。また、肝細胞が多少のダメージを受けた状態では自覚症状はほとんど現れず、神経も通っていないため痛むこともありません。
このような不調が見えにくいという特徴から、肝臓はしばしば、「沈黙の臓器」などとも言われています。
肝機能低下の症状
機能が多岐に渡る分、肝機能が低下したときにあらわれる症状にも様々なものがあります。
目に見える形での最も特徴的な症状は黄疸です。黄疸とは、血液中に含まれる「ビリルビン」という色素の濃度が異常に高くなり、体が全体的に黄色っぽくなる症状です。
ビリルビンは古くなって破壊された赤血球中のヘモグロビンが分解されたもので、通常は血液に乗って肝臓に運ばれ、そこで血液から取り除かれて胆汁中に捨てられます。しかし、肝機能が低下すると、胆汁中に捨てる機能がうまく働かなくなり、血中のビリルビン濃度が下がらず、黄疸が出てくるというわけです。
黄疸の症状以外にも、冒頭に挙げた、だるさ、倦怠感、脱力感などの疲労症状、食欲不振や吐き気、膨満感、黄色や褐色に近い尿、手のひらの赤み、体の痒みなど、肝機能低下の症状には、実に様々なものが知られています。
健康診断を参考に
肝機能低下の症状には様々あるとは言え、肝臓が不調が見えにくい臓器であることには変わりありません。症状が現れたときには、既に肝機能がかなり低下しているということも珍しくないのが、肝臓疾患の恐ろしいところです。
肝臓の状態を確認するには、血液検査によって関連する指標を定期的にチェックするのが最も確実です。
肝機能に関連が深い指標はALT(GPT)、AST(GOT)、γ-GTPなど。ほかにも参考にできる指標としては、TP(総たんぱく)、ALB(アルブミン)などいくつかあります。
これらの項目は、社会人の方であれば年に1度は受けている健康診断や、献血によっても調べられますので、食事・お酒の量が気になる方、慢性的な疲れを感じている方は、注意してみてはいかがでしょうか。