流行の熟成肉、どんなもの?
ここ数年、から「熟成肉」と呼ばれる肉がブームになっていますが、皆さんはもう食べましたか?ブームになっていることは知りつつも、扱っているお店も少ないしなかなかのお値段…ということで、残念ながら私はまだ食べたことがありません。
食べたことがないので味の感想は書けないのですが、熟成というからには、腐らない程度に肉を寝かせたもの、アミノ酸が増えたもの、ということは想像できます。寝かせることで、タンパク質の分解とアミノ酸の増加を促す…これって発酵に似ていませんか?
熟成肉と発酵肉は、『寝かせることで肉のタンパク質が分解され、アミノ酸(すなわち旨み)が増す』、という仕組みにおいては同じです。タンパク質を分解するためには酵素が必要になりますが、熟成肉と発酵肉では酵素の由来が異なるそうです。
例えば先日紹介した発酵肉の「ハモン・イベリコ」は、乳酸菌を利用した発酵食品ですが、この乳酸菌はもちろん生肉に由来するものではなく、熟成の過程で外部から侵入したものです。一方、熟成肉のたんぱく質分解を担う酵素は、もともと肉に含まれていたもの。あるサイトでは、熟成肉は「自己消化」されたものと表現されていました。
さて、熟成肉が肉を寝かせて「自己消化」を促したものというのはわかりましたが、例えばスーパーで購入したお肉を2日間冷蔵庫で保存しても、「肉を寝かせた」ことにはなるわけで、熟成肉の定義は曖昧なものなのだそう。肉は腐りかけが美味しい、とはよく聞く言葉ですが、普通に買ってきたお肉を数日間冷蔵庫に入れていただけでは、もちろん劇的に美味しくはなりません。
数年前からのブームで、熟成肉という言葉はよく聞かれるようになりました。大手レストランチェーンでも熟成肉を謳ったメニューが展開され、熟成肉はグルメに敏感な人たちだけのものではなくなってきましたが、もともとブームの火付け役になった熟成肉は、ニューヨークが発祥の「ドライエイジング」(乾燥熟成)という手法で作られたものだけを指していました。
現在、卸段階での肉の保存方法として一般的なのは冷凍や真空パック冷蔵(チルド)ですが、特に真空パック冷蔵では、1か月程度は保存がきき、その間に肉が「熟成」されるため、熟成肉として流通することも多いと言いますが、ドライエイジングとは別のもの。(ウェットエイジングと呼ばれたりもします。)
一方で、ドライエイジングとは、大雑把に言えば、ある程度の大きさの塊肉を適切な温度・湿度の下、風を当てながら熟成させる手法のこと。熟成の課程で肉の表面は変色し、カビが生えることもあるため、表面は取り除かれ、食べられる部分は減ってしまいますが、熟成肉ならでは香りや味は、この手法でしか生まれないそうです。ドライエイジングによる熟成肉には、ナッツ香と呼ばれる独特の香りがあるそう。ナッツの香りがするお肉、言葉だけでもとても美味しそうです。
管理が難しいこと、歩留りが悪いこと、出荷までに時間がかかることなど、様々な理由から流通量は少ないようですが、ドライエイジングビーフ、みなさんも是非食べてみてくださいね。
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