食べ物の「コク」
私たちは食品の美味しさを表現するときに「コク」という言葉をよく口にします。
「このスープにはコクがある!」「キレがいいのにコクがある!」など、カレーやラーメン、チーズ、ビールなどの味を表す時に使われることが多いようです。
これまで「コク」のもとになる物質についてはよく分かっていませんでしたが、近年明らかになりつつあります。2014年には、コク味物質として「グルタミルバリルグリシン(味の素(株)が初めて工業化に成功)」が食品添加物として認可されています。
「コク」ってどんな味?
コクというのは、食べたり飲んだりしたときに感じる、基本味(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)を増強させ、濃厚感や持続性、味に厚みや広がりを持たせるものです。また、好ましい口当たりによっても感じるもので、味だけではなく香りや食感によっても、もたらされます。
「コク」を求めるのは動物の本能
コクのもとになると言われている物質に、アミノ酸(ペプチド)、脂肪、糖があります。この3つは人間が生命を維持するにあたって欠かすことのできない三大栄養素のタンパク質、脂肪、糖質に対応するものであり、コクというのは生命維持のための本能的な味わいであると伏木亨氏は述べています(新潮新書「コクと旨みの秘密」:2005年)。
人間がコクのあるものを食べたいと欲するのは、自然な現象であるということでしょう。
大麦由来の「コク」
発酵大麦エキスには、大麦を発酵させた過程でできる“ペプチド”や“アミノ酸”が含まれていますので、食品の「コク」味付与にも利用されています。
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