元気な脳は運動から
脳が委縮し、記憶や認知、運動など、脳が司る体の様々な機能が損なわれる認知症。認知症には様々な種類があり、中には早期発見により大きな改善が見込めるものもありますが、罹患者が最も多いアルツハイマー型認知症をはじめ、多くの種類は一旦発症すると治ることはなく、現在は進行を抑える治療が主体となっています。それだけに「認知症の予防」への関心は高く、世界中で様々な研究が進められています。
認知症予防と運動
認知症予防の効果が期待されるものには、食事や食品、生活習慣など様々なものがありますが、運動もその一つ。最近の研究で、中年期の運動の有効性を示す調査結果が発表されました。
ボストン大学の研究チームなどが行ったこの調査は、中年期の健康な人約1500人を対象にランニングマシンを使った運動をしてもらい運動能力を測定したのち、20年後、脳の状態を調べるというもの。中年期に運動能力が低かった人は、20年後、脳の萎縮が1年分加速していたという結果が得られたそうです。さらに、心疾患の症状があったり高血圧の薬を飲んだりしている人の場合、脳の萎縮は2年分加速していたとのこと。
別の研究では、中年期の運動能力が高いほど5年後の脳の萎縮も少ない、というものもあり、運動が脳機能の向上に一定の効果を示すことは間違いなさそうです。
ボストン大学医学部のニコール・スパルタノ氏は「運動をすれば血流が増え、より多くの酸素が脳に運ばれて、年を取ってからの認知力の低下を防げるかもしれない」とも語っていることから、現在運動習慣がない人も、今からでも運動を取り入れた生活を始めることで効果は期待できそうですね。
高年齢者と運動
先に紹介した研究は、中年期の運動と認知症予防の関係を示したものですが、高年齢者にとっても運動は重要です。高年齢者の場合、運動と合わせて認知トレーニングを行うことが効果的とされており、これらを組み合わせたエクササイズも開発されています。
まず、国立長寿医療研究センターで推奨するのが、運動と認知トレーニングを組み合わせたエクササイズ「コグニサイズ」。自治体等との連携の下で進めてきた研究から、MCI(認知症ではないが正常とも言えない状態)の段階での「コグニサイズ」の実施することで、認知機能の低下を抑制できるとしています。
また、筑波大学教授などが中心となって開発されたのが「スクエアステップ」。講師の動きを真似しながら足踏み運動を行うエクササイズで、認知機能の向上や運動能力の向上(転倒防止)の他、サークル活動のように複数人で行うことで地域コミュニティの活性にも繋がるとしています。
運動を習慣づけるのはなかなか大変ですが、始めてしまえばなかなか楽しいもの。自分にできるものから始めて、体力向上に努めてみましょう。
発酵大麦エキス情報ポータルサイト事務局では、月に1回当サイトの更新情報をメールマガジン形式でお送りしています。メールマガジンのご登録は以下のバナーをクリックしてください。