麹とは



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麹と発酵食品のかかわり

麹とは、米や大麦等の穀類に麹菌(アスペルギルス属)を増殖させたもので、日本酒・焼酎・味噌・醤油などの伝統的な発酵食品の原料になっています。

昔から酒造りの現場では、「一麹、二もと(酒母)、三造り」と言われており、麹の品質は、酒造りにおいて重要なこととされてきました。

大麦焼酎には、二条大麦を原料にした麹(大麦麹)が利用されています。大麦麹にはでんぷんやたんぱく質を分解する酵素が含まれ、また大麦麹そのものにもアミノ酸等が含まれることから、発酵中に酵母の活動を助ける役割があります。

発酵大麦エキスは、二条大麦を微生物の力で発酵させた発酵食品です。したがって、大麦麹の品質は製造工程上の最重要項目の一つになります。

発酵食品に利用される麹菌には、白麹(しろこうじ)菌・黄麹(きこうじ)菌・黒麹(くろこうじ)菌等があります。大麦焼酎や発酵大麦エキスは、クエン酸を生産できる白麹菌を利用します。黒麹菌は泡盛や琉球もろみ酢などに、黄麹菌は日本酒や味噌などに利用されます。

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麹菌の活動

これは麹菌の姿を電子顕微鏡で捉えた写真です。麹菌は、糸状(棒状)に張り巡らす菌糸部分と、植物で言う種にあたる粒状の分生子(胞子)で構成されます。この麹菌の分生子の部分が、私麹ちゃん博士のモデルとなっています。

麹菌は、自身の栄養源を確保するために、でんぷんやたんぱく質を分解する酵素を分泌して、分解で生じた糖やアミノ酸などを栄養源として成長します。麹菌は菌糸の先端部分が成長するので、酵素も菌糸の先端部分で活発に生産されています。

 

大麦麹から発酵大麦エキスへ

大麦麹は蒸麦と白麹菌の菌糸を混合して、3日間程かけて造られます。麹造りには温度・湿度・酸素濃度等の要素が複雑に絡み合うため、熟練した技術が必要になります。《いいちこ》を造る技術者は、視覚・味覚・嗅覚・触覚・聴覚などの五感を駆使して、精白した大麦を最高の大麦麹に仕上げていきます。

麹造りの前半、白麹菌は蒸麦表面で増殖しながら、でんぷんやたんぱく質を分解する酵素を生産します。これらの酵素は発酵しているもろみの中で、大麦のたんぱく質やでんぷんをアミノ酸やオリゴ糖、ブドウ糖に分解していきます。生成したアミノ酸やブドウ糖は酵母の餌となって、アルコールや焼酎の香りに変わります。

さらに麹造りの後半には、白麹菌のクエン酸生成を促すように、温度と湿度を微妙に変えていきます。クエン酸は柑橘類に多く含まれる成分で、焼酎の醸造では汚染菌によるもろみの腐敗を防ぐ働きがあります。もろみ中のクエン酸は焼酎の蒸留では留出しないため、発酵大麦(=焼酎粕)の中に留まることになります。

この発酵大麦がさらに食品向けに精製加工されて、発酵大麦エキスとなります。


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