その「花粉症」の原因、本当は黄砂かも?
毎年この時期になると、鼻水やくしゃみが止まらなくなる、目に痒みや痛みが出る、などの症状を訴える方が増えます。
春先のこんな症状は、多くの場合は花粉症によるものですが、中には「自分は花粉症じゃないんだけど…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自分が花粉症なのを認めたくない(笑)という方もいますが、アレルギー検査などをした上で、本当に花粉にアレルギーがない場合もあります。そんな心あたりがある方は、黄砂が原因しているかもしれません。
春の厄介者、黄砂
環境省のWEBサイトでは、黄砂は下記のように説明されています。
黄砂は中国大陸内陸部のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土高原など、乾燥・半乾燥地域で、風によって数千メートルの高度にまで巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風に乗って日本に飛来し、大気中に浮遊あるいは降下する現象です。(環境省webサイト 黄砂より)
黄砂とは簡単に言ってしまうと「土埃」ですが、私たちが近所で見かける土埃とは、大きさが全く異なります。
黄砂の粒子の大きさは、0.5μm~5μm程度(1μmは0.001mm)と大変小さなもの。この時期多くの方が悩まされるスギの花粉は概ね30μm程度、近所で見かけるような土埃の粒子も30μm以上のものが多いと言われており、黄砂がいかに小さいかわかるでしょう。
黄砂の最も厄介なところはこの小ささにあります。 大変に小さいため、花粉であれば入り込めないような肺の奥や血管にまで到達し、喘息や気管支炎などの呼吸器系の病気を引き起こす原因になります。
また、黄砂は日本に到着するまでに、長い距離を風に飛ばされ、その中で粒子同士がぶつかるなどしているため、花粉と異なり、表面が凸凹しています。この凸凹により、目や皮膚に細かい傷ができることがあり、特に目に傷がついた場合、そこから細菌やウイルスなどが入り込み、結膜炎や視力の低下を招くことになります。
さらに、黄砂には大気中に含まれる物質を吸着する性質もあり、大気汚染物質が付着した状態で飛んでくるため、上記の症状や花粉症がより重いものになる、という弊害もあります。
メガネやマスクでシャットアウト
黄砂によって体調を崩さないようにするためには、黄砂を体に取り込まないことが一番です。春の黄砂は3月から5月にかけて飛散し、もっとも多いのが4月とされていますので、この時期は黄砂を取り込まないための対策をして過ごすようにしましょう。
最も有効なのは、黄砂のひどいときには外出しないことですが、全く外に出ないわけにはいかないので、屋外にいる時間は極力減らすようにしましょう。
また、花粉症と同様に、メガネやマスクをするのも効果的です。花粉症対策メガネのような横から花粉などが入り込みにくいものを使うのがベストですが、通常のメガネでも十分に効果が得られます。注意したいのはマスクで、黄砂の場合花粉より粒子が小さいので、風邪のウイルスを通さない高機能のマスクが効果的です。
黄砂は喘息などの慢性的な疾患の原因となるばかりでなく、脳や心臓への悪影響の可能性もしてきされています。一時的なものだから…と思わず、しっかり対策して憂鬱な春を快適に過ごしていきたいものですね。