魚の発酵食品にはどんなものがある?



「発酵」に関する情報として、昨年末こちらの記事をアップしたところ、現在まで多くのアクセスをいただいております。

発酵食品というと、ヨーグルトやチーズ、納豆や漬物など、乳製品や野菜を発酵させたものがあまりにも有名ですので、肉の発酵食品に馴染みが薄いのは当然かもしれません。日本人の肉食文化が本格的に発展したのが明治以降と比較的新しいのも、「珍しく」感じる理由かもしれませんね。

さて、肉食文化においては新参とも言える日本ですが、海に囲まれた環境から、魚食の分化は古くから盛ん。肉の発酵食品はハムやソーセージなど海外の食品でしたが、魚の発酵食品に関しては日本が発祥のものも多くあります。

 

魚の発酵食品、かつお節は外せません

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まず、日本人の食生活に欠かせない重要な発酵食品が鰹節です。鰹節は鰹を水分がほぼなくなるまで乾燥させたものですが、製造の途中にカビを利用する工程があります。

鰹に含まれる水分は、製造の前半で繰り返し行われる燻し(焙乾と言います)によって大半が取り除かれ、焙乾が終了した時点では20~30%程度までになります。そこまで乾燥した後は、「カビ付け」という特別なカビを付ける作業が行われます。カビの菌が鰹節の内部まで侵入して繁殖することで、水分が内側から抜け、最終的な水分量は15%程度にまで乾燥します。

鰹節の特徴である強い「旨み」はカビを利用した発酵によるもの。カビがカツオのたんぱく質を分解し、旨み成分であるアミノ酸がたくさん作られるのです。

また、鰹節は、生の鰹とは異なり、かなり保存が利く食品です。極度に乾燥していることで雑菌が繁殖しにくい環境になっていること、製造工程で付けたカビがびっしり他の有害な菌の侵入を抑えていることで、高い保存性を実現しています。

かつお節に類似する食品としては、マグロやサバ、ムロアジなどの魚を原料とする「節」もあり、かつお節同様に様々な料理の「出汁」として利用されています。

 

「すし」も元々は発酵食品

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現在の日本で「すし」と言えば、魚や貝などのネタとご飯を一緒に小さく握った握り寿司(江戸前寿司)が一般的ですが、もともと「すし」と呼ばれていたのは、川魚と米飯を一緒に塩漬けにした「熟鮨(なれずし)」の方。漬けてから食べられるようになるまで数か月を要し、その間乳酸発酵が進むことによって、長期の保存が可能になります。

握り寿司のシャリの酸味はごはんに混ぜている「酢」に由来するものですが、なれずしの場合、原料は魚、ご飯、塩のみで、酸味は乳酸発酵によって自然に生まれます。

最も有名なのが、滋賀県の鮒ずし。ほかにも、秋田県のハタハタ寿司や石川県のかぶら寿司も熟鮨の仲間で、ほかにも日本全国にそれぞれの地方でとれる魚などを利用した熟鮨が存在します。

 

他にも、魚の糠漬け、塩辛、くさやなど、海外の食品ではアンチョビーや、強烈なにおいで有名なシュールストレミング(スウェーデンの食品)、ホンオフェ(韓国の食品)なども魚の発酵食品です。

魚の発酵食品に独特なにおいのものが多く、初めて食べる人にはハードルが高いものもありますが、食べ慣れると旨みのとりこになる人も多いそう。地域性の高い食べ物が多いので、旅行などで産地を訪れた際は、是非試してみたいですね。

 

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