世界が認める食物繊維「βグルカン」
数年前から健康食品として話題に上ることが多くなったβグルカン。どのようなものかご存知でしょうか。その正体は、デンプンやセルロースなどに代表される「多糖類」の仲間で、ブドウ糖が数万~数十万個結合してできています。「糖」と付いてはいますが甘くはなく、大麦や酵母、キノコに含まれており、食物繊維の一種でもあります。
2つのβグルカンとその働き
βグルカンはブドウ糖がどのように結合しているかによって主に2種類に分けられます。1つは、「1,3-1,6結合型」、もう1つは「1,3-1,4結合型」です。
「1,3-1,6結合型」βグルカン
「1,3-1,6結合型」は、主に酵母やキノコに含まれています。特に、アガリクスや霊芝には多く含まれ、健康維持を目的としたり、古来より生薬として利用されたりしてきました。
また、黒酵母(Aureobasidium pullulans)による発酵生産も行われており、その培養液は、「増粘安定剤」として食品添加物に認可されています。黒酵母のβグルカンの機能性研究も活発に行われ、マクロファージやNK細胞の活性化のほか、抗腫瘍作用や腸管粘膜保護作用などの機能性が報告されています。
「1,3-1,4結合型」βグルカン
一方、「1,3-1,4結合型」はイネ科に含まれているもので、特に大麦には多く含まれています。諸外国ではその有効性について表示することも認められていて、アメリカやカナダでは、大麦とオーツ麦のβグルカンには「冠動脈疾患リスクを低減する可能性がある」旨の表示が許可されています。
欧州では、「大麦由来βグルカンは血中コレステロール値を低下させる。血中コレステロール値が低下すると、心血管障害のリスクを低減する可能性がある」、「オーツ麦もしくは大麦由来のβグルカンの摂取は食後血糖値の上昇抑制に寄与する」、「大麦粒由来の食物繊維は糞便の容積増加に寄与する」、韓国でも「健康な腸機能の維持を助ける」との表示が認められています。
摂取のポイント
一般に流通する大麦にはβグルカンが3~5%程含まれています。健康強調表示が認められている国々のデータを基にすると、βグルカンの1日の必要量は3g以上とされていますので、大麦に換算すると60~100gを摂取する必要があります。食事で摂りきれない場合は、サプリメントを利用するのも手でしょう。
私たちの身近にあったβグルカン
βグルカンが発見されたのが、1940年代。昔から知らず知らずに摂取してきた大麦やキノコには、からだが喜ぶ素晴らしい成分が含まれていたようです。今では様々な疾患のリスクを減らすことが明らかにされつつあるβグルカンですが、今後、更に新たな機能性が発見されることを期待したいと思います。