「菌食論」 菌を食す



気温・湿度が高くなり食べ物にカビが生えやすくなる季節になりました。みなさまの中にも、カビにより食材がダメになってしまった…という方がいらっしゃるのではないでしょうか?

カビが生えた食べ物はまず見た目が良くありませんし、中には自然界で最も強い毒であるアフラトキシンを生産するカビもいるので注意が必要です。

こうしてみると、カビは「悪者」ということになってしまいそうですが、ブルーチーズの青カビや、酒・しょうゆ等で用いている麹菌のように、私たちの食を豊かにする菌も実はカビの仲間です。

醤油

 

麹菌は安全な食べ物です

日本食で麹菌(Aspergillus oryzae)を用いた代表的な食品として酒・みりん等があげられます。今や麹菌は私たちにとって、とても身近な菌ですが、50年程前には海外の研究者からアフラトキシン生産菌(Aspergillus flavusと同じ菌であると言われてしまった事があります。これだけ聞くと、麹菌は危険なのでは思ってしまいそうですが、その点は心配無用です。日本の遺伝学的調査により、アフラトキシンを作る遺伝子情報が麹菌ではすっぽりと失われている事が確認されているからです。

麹

なぜ麹菌にはアフラトキシンを作るための遺伝情報がないのか?非常に興味深い話ですので、詳しく知りたい方は次のHP※1をご覧ください。

※1 日本生物工学会 生物工学 90巻 バイオよもやま話 北本勝ひこ先生

https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9007/9007_yomoyama_1.pdf

 

 

菌食論って知っていますか?

日本の食文化に関わる麹菌は安全な菌である事がお分かりいただけたと思います。

ところで、1970年頃に提唱された「菌食論」という言葉をご存知でしょうか?

戦前は発酵食品(菌類質食品)を食べる習慣を多く持っていましたが、戦後に食の欧米化、つまり炭水化物・脂質・蛋白質・ビタミン・ミネラルをバランスよく摂取する事を強調した栄養学が主流となりました。その結果、脂質や蛋白質を満足に取るようになったことで、日本人の体格は著しく向上しましたが、逆に癌や心筋梗塞や糖尿病が増えたそうです。この最大の要因が発酵食品(菌類質食品)の摂取量が減ったことであると、菌学者であった今関六也先生から提唱された栄養論が菌食論です。

最近の研究ではキノコ・カビ等の制ガン性物質が報告されていますし、アレルギーや血流改善作用といった効果も報告されおり、菌食論の考えに繋がる研究結果が出てきています。

本サイトで紹介している「発酵大麦エキス」も大麦に白麹菌の力が加わった発酵食品であり、体に嬉しい様々なはたらきを持つことが明らかになってきました。

今後、菌食論への注目はさらに高まってくるかもしれません。皆さまも菌食を始めてみてはいかがでしょうか?

 

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