自分のストレス状態を知ろう
ストレスが体を蝕む?!
昨年末から始まったストレスチェック。「労働安全衛生法」が改正されて、労働者が50人以上の事業所では2015年12月から毎年1回、この検査を全労働者に対し実施することが義務付けられたので、もう既に受けられた方もいらっしゃるかと思います。突然始まったこの制度。どうしてこんなものを受けなければいけないのかと疑問に感じた方もいることでしょう。
しかし、現実をみると、
- 日本では320万人以上が精神疾患で医療機関を受診(2011年)
- 国内で推定111万人がうつ病などの気分障害を抱えている(2014年)
- 精神疾患の推定経済損失は8.3兆円(2008年)
と、とても深刻な状況なのです。そのため、この制度の目的は労働者が自分のストレス状態を把握し、早目に対処することで、うつなどを予防することにあるとのことです。
また高ストレス状態は精神疾患のみならず体を蝕むとのデータもあります。とりわけ、循環器系の疾患との関係が指摘されています。例えば、冠動脈疾患の患者13,708人について経過を見ると、抑うつ症状がある場合、心不全の発症が多いことが報告されています1)。また、心筋梗塞との関係を調べたデータもあります。急性心筋梗塞の患者11,119人とそうでない13,648人について調べたところ、社会的ストレス、抑うつ状態にある人は、そうでない人に比べ1.55倍心筋梗塞になりやすいことがわかりました。また、興味深いことに、この論文では、東洋人はヨーロッパ人に比べて精神的に弱いというデータも示されています2)。
対処法は?
最近の研究報告で効果が高いといわれているのが、“コーピング”と“マインドフルネス”です。
コーピング
コーピングとは、ストレス対処行動を意味します。代表的なコーピング手法として以下のような手法があります。
- ストレスに対する効果的な気晴らし対策をリストアップ
- 実際にストレスがかかった時、どういうストレスなのかを客観的に観察
- そのストレスに対する気晴らし対策を行う
- ストレスが減ったかどうかを自己分析
このように自らのストレスを客観的に観察し、その対策を意識的に繰り返すことが重要です。
マインドフルネス
マインドフルネスは、過去や未来のことを考えずに、今という瞬間に注意を集中するということです。マインドフルネスの実践方法は様々ありますが、ビジネスパーソンでも実践しやすいのが「呼吸瞑想」です。1日5分ほど行うだけでも効果があるそうです。
- 背筋を伸ばして椅子に座る
- 視線を斜め前に落とす、または目を閉じる
- 自然に呼吸し、注意を呼吸に向ける
- 注意がそれたことに気付いたら、何に注意がそれたのかを記憶し、注意をまた呼吸に戻す
呼吸に集中しているつもりが、様々な雑念が沸いてしまうことがありますが、気にせずに淡々と戻ってくることが重要です。こうすることで日常生活の態度や気分のコントロールがしやすくなるとのことです。
仕事や家庭などで様々なストレスが多い現代社会では、ストレスのない生活を送っていくことが難しいかと思います。ストレスをため込まず、自分にあった対処法を探してみてください。
(参考文献)
1)Hoen, Petra W., et al. “Differential associations between specific depressive symptoms and cardiovascular prognosis in patients with stable coronary heart disease.” Journal of the American College of Cardiology 56.11 (2010): 838-844.
2)Rosengren, Annika, et al. “Association of psychosocial risk factors with risk of acute myocardial infarction in 11 119 cases and 13 648 controls from 52 countries (the INTERHEART study): case-control study.” The Lancet 364.9438 (2004): 953-962.
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