痛風と遺伝子の関係は?最新の研究情報



高い血中尿酸値が原因となり、突然激しい関節痛の発作が起きることで知られる「痛風」。

通常であれば尿中から適宜排泄され、正常値に保たれるはずの血中尿酸値が高くなるのは、不摂生や運動不足などの悪い生活習慣や、肥満などが関係しているとされていますが、痛風の発症には遺伝の影響(つまり体質によるもの)も大きく、痛風と遺伝子の関係については、過去に当サイトでも紹介してきました。

あなたの家族は大丈夫?痛風と遺伝子の関係

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この痛風と遺伝子の関係について、防衛大や理化学研究所などのグループによる最新の研究結果が発表されました。

毎日新聞社の報道によると、今回の発表では、過去に公開されていた5つの遺伝子(ABCG2 、SLC2A9、GCKR、CNIH-2、ALDH2)に加え、新たに5種類の遺伝子が痛風の発症に関連していることがわかったとのこと。

原因遺伝子、新たに5種類 防衛医大など発見、予防や治療に近づく

今回発見された遺伝子は、SLC22A12、SLC17A1、HIST1H2BF-HIST1H4E(の間に存在する遺伝子)、NIPAL1、FAM35Aの5種類。論文では、このうち前者3種類は全ての痛風タイプに、後者の2種類は排泄低下型痛風(尿酸産出量は正常で、排出機能が低下しているタイプ。日本人に多い。)に関連するとしています。

論文はこちら:GWAS of clinically defined gout and subtypes identifies multiple susceptibility loci that include urate transporter genes(英医学誌:Annals of the Rheumatic Diseases、英語)

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ところで、同研究グループが先に明らかにしていた5種類の遺伝子のうち、「ALDH2」はアセトアルデヒド脱水素酵素の合成に関わる遺伝子で、先日公開した「稲作伝来と下戸との関わりって?!」でも紹介した「酒豪の遺伝子」のことです。

お酒に弱い人の場合、ALDH2遺伝子の構造の一部が通常のものと異なっているため、アセトアルデヒド脱水素酵素を作ることができません。酵素が作られないため毒性の強いアセトアルデヒドが体内に残る時間が長くなり、少量でもひどく酔ってしまいます。

このように、アセトアルデヒド脱水素酵素を作れない”お酒に弱い”タイプのALDH2遺伝子の人は、お酒を飲む場面では大変な思いをすることも多いのですが、痛風が気になる人にとっては良いこともあります。紹介した研究の通り、ALDH2遺伝子は痛風の発症に関わっていますが、中でも関連があるのは”お酒に強い”タイプの方だけで、”お酒に弱い”タイプの場合は関連がないのです。

もちろん、遺伝子的に優位であるからと言っても絶対に痛風にはかからないとは言えませんが、痛い思いをするリスクが少しでも小さいのであれば、お酒が弱くてよかった!と思えてきますね。

 

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