和食文化の名脇役、日本のハーブ



香りや刺激を加えて料理をより美味しくしてくれたり、気持ちを鎮める、寝つきを良くするなどの体の機能を高めたりするのに役立つ「ハーブ」。

私が子供だった頃、身の回りにあるハーブ(という言葉が一般的だったかどうか微妙なところですが)と言えば、歯磨きペーストの味としての「ミント」や、キャンディのフレーバーとしての「ハッカ」程度でしたが、現在は西洋のものを中心として、世界中のハーブを日本でも手に入れることができるようになりました。

食の選択肢が広がったこともあり、ドライハーブを常備していたり、自分でハーブを育てて日々の料理に取り入れる人も多くなりました。

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お茶として飲まれることが多い「カモミール」「ローズヒップ」、肉料理に合う「ローズマリー」「セージ」、イタリア料理によく使われる「バジル」「オレガノ」、東南アジアの料理でよく見かける「レモンバーム」などは有名ですが、どれも外国の料理によく使われるもの。和食用のハーブとしてよく使われるものか?と言われればちょっと違うものが多いですね。

では日本にはハーブがないのかと言えばそんなことはなく、「ハーブ」という認識なしに日本人が利用してきた植物ももちろんあります。

「ハーブ」を辞書で調べると、香りや薬効を目的として、食用、薬用、香料などとして利用される有用な植物というような意味で紹介されています。和食や和菓子の薬味や香りづけに使われているものは「ハーブ」としてしまっても差支えないのではないでしょうか。

 

紫蘇(シソ)

たくさんの種類がありますが、和食で主に利用されるのは赤じそ、青じその2つ。

独特の香りの主成分は「ぺリルアルデヒド」で、この成分には、制菌・防腐作用があり、刺身などの生食する食品の付け合わせとして古くから利用されてきました。また、この香りには胃液の分泌を促し、食欲を増進させる、食事を美味しく食べるための効果もあります。

また、焼肉の付け合わせで食べることが多いエゴマもシソの仲間です。

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ミツバ

お吸い物や茶わん蒸しなど、「出汁」の味を生かしたお料理に添えられることが多いハーブです。お浸しなどにして食べられることも多く、実際にビタミンやミネラルなどの栄養素にも富んでいるため、野菜としての利用が増えてもよさそうな食品です(常用したくさん食べるには少しお値段が高いのがネックですが)。

香りの主成分には諸説あるようですが、セリ科の植物ということで、同じくセリ科のシャンツァイやセロリなどと同様、好き嫌いの分かれる香りを持っています。

また、ミツバは数少ない日本原産の野菜の1つとしても知られています。

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ヨモギ

春先に出る若芽を食用にすることが多いヨモギ。スーパーなどで売られていることは少ないですが、自生していることが多いので自分で摘んで食べるという人も多いでしょう。また、草餅に入っていることでもお馴染みの植物です。沖縄では「フーチバー」と呼ばれ、ヤギ肉料理で臭み消しに利用されたり、雑炊や炊き込みご飯のような料理に使われたりします。

食用とする以外に、薬効に優れていることで知られ、貧血、冷え、下痢など様々な症状に効果があるとされています。お灸に使われるもぐさも、ヨモギの葉の裏の繊維が原料となっています。

含まれる香りの成分も、シオネール、ツジョン、カンファー、ボルオネールなど。

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わさび

和食に使われる食材で、香りによって食事に彩りを添えるものと言えば、ワサビは欠かせません。葉や花を食べることもできますが、根茎を摩り下ろし、主に刺身や寿司などの魚を生食する際の薬味として利用されるのが定番となっています。

鼻を刺激する独特の辛味が特徴で、この辛味はアリルイソチオシアネートという成分によるものです。

この成分は、強い殺菌作用を持つとされており、カラシも同様の成分を含んでいます。

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他にも、現在では「山草」として食されるような野菜や、桜餅に使われる桜の葉、古くから薬として飲まれてきた柿の葉茶やどくだみ茶なども、香りや薬効を目的として利用されるという意味では日本のハーブと言っていいかもしれませんね。

 

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