イベント疲れしていませんか?
疲労は生体アラーム【警報装置】
疲労は、「過度の肉体的、精神的な活動により生じた独特の病的不快感と、休養を求める欲求を伴う身体或いは精神機能の減弱状態」のように定義されています。つまり、疲労すると精神的・肉体的な作業能率や作業量が低下することを意味します。
厚生労働省の調査によると、疲労感を自覚している人の割合は約60%、6か月以上にわたって疲労が続いている人は37%にも及ぶそうです。
生物は、身体のどこに問題(傷や出血など)があるのかを教えてくれる「痛みのアラーム」、感染症・炎症などの治療を行ってくれる「発熱のアラーム」の2つに加えて、3つ目のアラームとして「疲労のアラーム」を持っていると言われています。
もしも、この疲労のアラームがなければ、私たちは休むことなく働き続け、やがては疲弊して死んでしまうことになるでしょう。そういう意味で疲労を感じることは大事なことなのです。しかし、いくら疲労が必要不可欠なものだからといって、放っておいたのでは、せっかくのアラームの意味がありません。いかに予防・回復していくかは、私たち現代人にとって重要な課題です。
疲労のメカニズム
疲労というと、運動後の筋肉疲労をイメージしがちですが、実はそれだけではありません。睡眠不足、精神ストレス、環境ストレス、消耗性疾患、感染、あるいは失恋しても疲労を感じるのです。つまり、脳に様々な情報が入り、それが耐え難い状態になった時に、私たちは「疲れた」という状態を感じるのです。
適度な疲れは、深い睡眠を誘います。しかし、頭を使った作業の連続で疲れが高じると、却って眠りが妨げられ、場合によっては不眠に陥ります。忙しい現代人が陥りやすい疲労の悪循環です。
疲れてくると、最初に、脳の《意欲・情動》に関わる部分から、《集中・注意》と《新規学習・計画》をつかさどる2つの部分に対して、「働きすぎなので休みなさい」と疲労のシグナルを発します。仕事のことばかり考えて、やる気十分の状態になっていると、疲労のシグナルが抑え込まれ、脳は働き続けてしまうのです。この現象こそ、過労死に至るメカニズムだと考えられています。
抗疲労食薬の開発
疲労を回復させるためには、第一に休養が必要です。そのうえに、バランスよく栄養素を摂取することが大切です。しかしながら、十分な睡眠を取ったり、理想的な食生活を送ることは現実的には困難です。
そこで、疲労を起こりにくくする効果がある成分や、あるいは疲労回復を促進させる効果を持つ成分を含む食品・医薬品の開発が進められています。これまでに、疲労と免疫異常・エネルギー代謝異常・酸化ストレスなどとの関連が明らかになりつつあり、今後のさらなる研究成果が期待されています。