いつも眠い人は注意!睡眠不足で太る仕組み
睡眠不足は様々な不健康を引き起こすことが知られていますが、肥満も睡眠不足が引き起こす不健康の1つです。
肥満と睡眠不足の関係については、以前に公開したこちらの記事でも紹介していますが、睡眠不足から肥満に至る仕組みはこれだけではなく、様々な仕組みが考えられています。
今回は、睡眠不足と肥満の関係について、新しく発表された研究をご紹介します。
「レム睡眠」の不足が食欲を増加させる仕組み
まずは、英科学誌eLIFEで発表された、レム睡眠と肥満の関係の研究について。
こちらは、筑波大のミハエル・ラザルス准教授らによるもので、レム睡眠のみを減らしたマウスが好む餌の傾向を調査したものです。
http://www.tsukuba.ac.jp/attention-research/p201612071400.html(筑波大学のページ)
レム睡眠(脳は起き、体は眠っている)とノンレム睡眠(脳は眠り、体は起きている)の繰り返しであることが良く知られています。このうちレム睡眠だけを減らすと、高糖質、高脂質のカロリー高い餌をよく食べるようになることは以前から報告されていました。
今回の研究では、前頭前皮質の神経活動を抑制し、高カロリーの餌を好むようになる傾向に変化が見られるかどうかを調査しています。
結果、レム睡眠を減らし、且つ前頭前皮質の神経活動を抑制したマウスでは、高脂質の餌の摂取量は増えたものの、高糖質の餌の摂取量は通常の睡眠時と変化が見られなかったということです。
この結果から、睡眠不足のときに高カロリーなもの(特に甘いもの)を食べたくなるのは、前頭前皮質が関わっている可能性があるということです。
睡眠不足がエネルギー代謝に与える影響
次に紹介するのは早稲田大の内田直教授らよる、睡眠不足と体の代謝およびとホルモン量の関係についてのもので、これも英国のScientific Reportsに掲載されています。
睡眠不足と肥満に関する研究は脳波を測定して行うものが主流ですが、この研究では、体全体の代謝を測れる部屋型の測定器(メタボリックチャンバー)を利用し、体全体の代謝と睡眠不足の関係について調査しているところが、他の研究にはない新しさです。
https://www.waseda.jp/top/news/47804(早稲田大学のページ)
十分な睡眠を取っている被験者と、睡眠不足の被験者を比較すると、長く起きている部分の代謝量は睡眠不足のグループの方が高くなりましたが、1日全体で見ると両者の代謝量に大きな違いは見られなかったとのこと。
一方で、睡眠不足のグループでは、食欲を抑える働きがあるホルモンの血中濃度が1割強減ってしまったそうで、2つの結果より、エネルギーの消費量は変わらないのに、睡眠不足になるとよりたくさん食べたくなる(すなわち太りやすくなる)ということが明らかになりました。
適切な睡眠時間の長さは人によって異なるため、どのくらいだと「睡眠不足」なのかは人それぞれですが、「日中の眠気で困らない程度」の睡眠は確保したいものですね。
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