睡眠の「質」と脳の発達



平成27年11月に実施された「国民健康・栄養調査 ※1」では、日本人の4人に1人が睡眠の質に不満を抱えているという結果が出ており、多くの日本人が睡眠の悩みを持っていることがわかります。もはや国民病といっても過言ではないのかもしれません。

※1 厚生労働省ホームページ 平成27年「国民健康・栄養調査」の結果
→ http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000142359.html

 

スムーズな入眠と、スッキリ目覚めるための「質」

睡眠の「質」を高めるには、まずは寝入りをスムーズにすることが大切です。一般的に、入眠時に体温が下がる度合いが急であるほど良いと言われています。毛細血管を使って体温が放出される仕組みになっているので、寝る少し前にはぬるめのお風呂に入るなど血行を促進し、体温の放出をうまく行えるようにすると良いようです。

また、ヒトは眠っている間に眠りの浅い「レム睡眠」と、眠りの深い「ノンレム睡眠」を周期的に繰り返しています。(図1:睡眠の周期)このサイクルは90分刻みになっていますから、眠りの浅いレム睡眠のときに起きるようにコントロールできれば、スッキリ目覚めることができるようです。

レム-ノンレム睡眠

図1 睡眠の周期 [Dement,W. & Kleitman,N. 1957 Cyclic variation in EEG during sleep and their relation to eye movements, body motility and dreaming. Electroencephalography and clinical Neurophysiology 9:673-690]

 

発達のための「質」

ここまでは睡眠そのものへの満足度である「質」についてお伝えしてきましたが、それに加えて脳の発達や成長といった点での「質」にも、睡眠は重要な役割を果たしていることがわかってきています。

特にレム睡眠(浅い睡眠)について注目すべき点があります。

デルタ波と呼ばれる記憶の形成や学習を促す脳波があるのですが、このデルタ波はノンレム睡眠中に最も生じやすいものです。ここ数年の研究から、実はレム睡眠がその働きを誘発していることが明らかになってきました。つまり、ノンレム睡眠とノンレム睡眠の両方があることが重要なのです。

レム睡眠は新生児期に多く、加齢によって次第に減少していくことがわかっており、このことから考えても(図2)、脳の発達に深くかかわっている可能性が示唆されます。

レム睡眠の働きを明らかにすることは、脳の発達に関わるさまざまな疾病の治療法の開発にもつながると、期待されているようです。

レム睡眠とノンレム睡眠

図2 レム睡眠とノンレム睡眠 Roffwarg, HP., Muzio, JN., Dement, WC. 1966 Ontogenic development of the human sleep-dream cycle. Science 152: 604-19. を一部改変

 

安眠感や熟眠感だけではない、人の成長にかかわる睡眠の質についても考えていきたいですね。

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