男性と女性で異なる?便秘の原因と対策



一般的に、便秘は女性に多いものとされていますが、男性が便秘にならないことはありません。平成25の国民生活基礎調査によると、男性でも1,000人あたり26人が便秘を自覚しているという統計が出ており、女性の1,000人あたり48.7人に比べれば確かに少数ですが、自覚者全体の3割強は男性ということになります。

平成25年国民生活基礎調査(厚生労働省サイトPDF、便秘に関するデータは男女ともP45を参照)

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便秘とは、腸の運動機能に問題が生じて起こる症状ですので、女性でも男性でも腸の機能に問題が生じれば等しく便秘になります。ただし、腸の運動機能の問題によって便秘にはいくつかの種類があり、女性がなりやすい便秘、男性がなりやすい便秘というのはあります。

 

排便の仕組み

通常、便はいつでも出るというものではなく、例えば大腸の途中に便があっても、それを急に自分の意思で便として出すことはできません。排便するためには、便が肛門の直前の腸(直腸)まで降りてきている必要があり、直腸までは腸が「蠕動運動」と呼ばれる動きをすることで送られてきます。

蠕動(ぜんどう)運動とは腸が波のように動く運動で、これによって便は少しずつ肛門に向かって送り出されます。蠕動運動は自律神経によってコントロールされているため、自分の意思で腸の中の便を動かすことはできないのです。

蠕動運動は食事をしているときや運動をしているときに起こりますが、様々な要因によって、運動に問題が起こることがあり、その結果、便がうまく送られずに便秘となります。

 

弛緩性便秘

蠕動運動が小さく、弱くなるために起るのが弛緩性便秘です。最も一般的で、女性に多いのはこのタイプです。蠕動運動が鈍くなると便の進む速さが遅くなり、必要以上に水分が吸収されるため、便は固くなり、さらに送られにくくなるという悪循環が生じます。

蠕動運動で腸を動かしているのは腸の筋肉です。また、腹筋への刺激も腸の筋肉を動かすきっかけになります。女性は筋肉量が少ないため、この蠕動運動を起こす筋肉の動きが十分でなく、便秘になりやすい特性があります。

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また、女性ホルモン(黄体ホルモン)の働きで便から水分が多く吸収されやすいことも女性に便秘の人が多い原因となっています。

このタイプの便秘を改善するためには、腸の蠕動運動を促すことが重要になります。腸を動かす筋肉を直接鍛えることはできませんが、腹筋を鍛えることで、近くにある腸の筋肉も刺激することができます。腸を内側から刺激するため、食物繊維、特に不溶性のもの(豆類、きのこ類に多く含まれる)を水分と一緒に取ることも効果的です。

また、女性の場合ダイエット等で摂っている食事の量がそもそも少ない場合がありますので、1日3食規則正しく食べ、便の量を増やすことも大切です。

 

痙攣性便秘

弛緩性便秘とは異なり、蠕動運動が活発になりすぎ、腸が必要以上に収縮してしまうことで起こるのが痙攣性便秘です。蠕動運動が活発になりすぎると、腸の収縮が連続して起こり、便が送られにくくなったり、送られた便が押し戻されたりして排出されにくくなります。また、収縮している部分より前側も活発に動いているため、圧力がかかり、腹痛が起こります。

蠕動運動自体は活発なので、腸内での移動速度が速くなり、水分が十分に吸収されず、便秘と下痢を繰り返すのがこのタイプの特徴です。弛緩性便秘の人が少ない分、男性に見られる便秘の多くはこの痙攣性便秘です。また、女性の場合は弛緩性便秘の人が多いので目立ちませんが、もちろん女性でも痙攣性便秘になることがあります。

痙攣性便秘は、ストレスや夜更かしなどによる自律神経の乱れが原因とされていますので、適度なストレス発散や、規則正しい生活が改善の鍵になります。蠕動運動を促すタイプの一般的な下剤は逆効果です。また、便秘の改善に役立つとされる食物繊維も、不溶性のものは腸管を刺激するので逆効果になります。

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直腸性便秘

通常は直腸まで便が下りてくることで便意を感じ、排便に繋がりますが、この直腸で便意を感じる反応が弱くなってしまうことで起こるのが直腸性便秘です。便意を感じないので直腸に便が留まり続け、便が硬くなってさらに排便が困難になります。

日常的に便意を我慢することで直腸の反応が鈍くなることが主な原因です。また、老化も直腸性便秘の原因となります。

 

便秘がもたらす体の不調でも解説した通り、便秘は心身を不快な状態にし、生活の質を下げてしまいます。便秘で体がつらい方は、まず自分がどのタイプかを見極め、効果的な改善を図っていきましょう。

 

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