ストレスを感じさせる意外なできごと

日本では、4月は出会いの季節です。保育園から大学、大学院に至るまで、ほとんどの学校は4月始まりとなっており、企業でも4月を新年度としているところは多くあります。

環境の変化は大きなストレスになり得ますが、4月という季節は、住む場所や働く場所、人間関係や仕事の内容など、変化することがらが数多くあり、一気に変化することもあったストレスをためやすい季節とも言えるでしょう。

ストレスをもたらす環境の変化には、社会的な要因による避けられないものが多くあります。

ストレスが大きい環境の変化

ストレスをもたらす出来事をまとめたものとして有名なものに、アメリカの社会学者ホームズとレイによる社会的再適応評価尺度というものがあります。人生において起こりうるライフイベント43項目に対して、ストレス評価指標を設定したもので、点数の高いものほどストレスが大きく、年間の合計点が高くなるほど翌年に深刻な健康障害が出るとされています。

最も指標が大きいのは「配偶者の死」で100点、続いて離婚（73点）、夫婦別居生活（65点）、拘留（63点）、親族の死（63点）が上位5項目となっていて、3位の拘留を除けば上位4項目が最も親しい人を失うことに関係する項目になっています。

意外なストレスの原因

上位として紹介した死別や離別などのネガティブなイベントであり、ストレスが大きくなることにも非常に納得感がありますが、下記のように一般的に考えて良いこと、おめでたいこともストレス要因として指標値が設定されています。

7位『結婚』（50点）、12位『妊娠』（40点）、14位『新たな家族成員の増加』（39点）、25位『個人的な輝かしい成功』（28点）などは、上位の項目程ではないにしろ、なかなか点数が高くなっています。

家族が増えることもストレス？

妊娠に伴う体調変化でネガティブな気分になる、などの可能性はあるにしろ、多くの人にとってこれらのイベントは喜ばしいものであり、新しい生活に希望を感じるもの。このようなイベントでもストレスになるということは、環境が変わること自体がストレスになり得るということを示しています。

仕事が変わる、学校が変わる4月は要注意

ホームズとレイによる社会的再適応評価尺度のうち、年度初めの4月に起こりやすいライフイベントとして考えられるのは、

• 16位『経済状態の大きな変化』（38点）
• 18位『転職』（36点）
• 22位『仕事上の責任の変化』（29点）
• 23位『 息子や娘が家を離れる』（29点）
• 26位『妻の就職や離職』（26点）
• 27位『就学、卒業、退学』（26点）
• 31位『仕事時間や仕事条件の変化』（20）
• 32位『住居の変更』（20点）
• 33位『学校を変わる』（20点）

などかなりの数に上ります。個々に見れば上位の項目に比べてストレス指標値は小さくなっていますが、例えば転職に伴って引越しをし、仕事の内容や責任が前職と大きく変わり、給与額も変化した、などということが起これば合計で143点とかなりの点数になり、他にもプライベートでの変化が伴えば、大きな健康リスクが生じることにもなります。また、仕事や学校が変わることで、『生活条件の変化』（25点）や『睡眠習慣の変化』（16点）が付随して起こることも考えられます。

新しい環境が自分で望んだものであったとしても、新しい仕事に希望を感じているにしても、「変化した」こと自体がストレスとなります。

何かと気分が浮き立つ機会が多い季節ですが、特にこのような変化を迎えた皆さん、無理をせず穏やかに過ごしてくださいね。

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