夏に増える尿路結石症



夏の時期に患者が増える病気の1つに痛風がありますが、痛風と並んで、痛い病気として知られるもの尿路結石症があります。尿路結石症も痛風と同様、夏に注意が必要な病気ですが、こちらは背中から下腹部にかけての激しい痛みが特徴です。尿路結石症は痛風の合併症としても知られています。

 

体内で生成した「石」による痛み

尿路結石症とは、尿中の成分に由来する「石」が尿路のいずれかで形成され、それが原因で疝痛が発生する病気です(疝痛とは腹部の激痛で、急激に、一定間隔で起こるものを言いますが、連続する場合もあります)。「尿路」とは、尿が通る道という程度の意味で、腎臓、腎臓から膀胱につながる尿管、膀胱、膀胱から延びる尿道のすべてを示しています。

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「尿路」結石症とは言うものの、石の90~95%は腎臓内で形成されます。結石が小さければ自覚がないうちに尿とともに排出されることもありますが、ある程度の大きさになると尿管を通ることができず、尿管を塞いでしまいます。疝痛は、尿管に結石が詰まることで腎臓で作られた尿が行き場を失い、腎臓を内側から圧迫することで発生しており、尿管結石症の患者の多くには腎臓の肥大が見られるそうです。

結石が形成される原因についてはまだよくわかっていないそうですが、石の成分はいくつかのパターンがあり、最も多いのがシュウ酸カルシウム単体か、リン酸カルシウムとの混合物によるもので、全体の80%程度を占めています。

石の成分にカルシウムが含まれていますが、注意したいのはシュウ酸のほうで、これを速やかに体外に排出するようにすることが重要です。シュウ酸はカルシウムと結びつきやすく、カルシウムと結びついたシュウ酸は便とともに排出されます。以前はは尿路結石症の予防には、カルシウム摂取を控える対策が取られていたようですが、カルシウム摂取を抑えると、逆に結石が生じやすくなることがわかってきており、現在はそのような指示はなされていません。

痛風ほどではありませんが、尿路結石症も患者数には男女差があり、男性と女性の割合は2:1程度と、男性のほうが多くなっています。

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尿酸と尿路結石症

尿路結石症は痛風の合併症としても知られており、発作が起きている状態の痛風患者の10~20%は結石を有しているといわれています。

尿路結石症で形成される石の多くはシュウ酸カルシウムが主成分ですが、尿酸が「石」になって発症する尿路結石症もあります。尿路結石症のうち、尿酸結石が原因となっているものは約5%ほど。率にしてはさほど多い数字ではありませんが、血中の尿酸を積極的に排出する高尿酸血症の治療中にある人の場合、血中に尿酸が増えた状態になっているので、尿酸結石ができやすいとも言われています。

 

尿路結石症は痛風と同様、夏に増えるとされています。夏に多発する仕組みも痛風と同様で、通常なら尿中に溶けている石の成分が、尿量が減ることで溶けきれずに結晶化するためです。夏場に尿路結石症を発症しないようにするためには、水分補給が重要になります。

ビールをたくさん飲むと尿路結石症の予防になるというような話を聞くことがあります。ビールは飲み物であるため、当然水分を取ることにはなりますが、ビールには利尿作用があり、必要な水分まで体外に排出し、結果的に脱水を起こしやすいという欠点があります。また、ビールに含まれるアルコールには、血中尿酸値を上昇させる作用があるため、尿路結石症の予防には残念ながらふさわしくないといえるでしょう。

尿路結石症や痛風予防のためには、1日の尿量が2リットル以上になるのが目安ということで、等量の水分を取ることが推奨されています。2リットルの水分を一度に取るのは難しいため、こまめな水分補給を心がけるようにしましょう。

 

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