食物繊維は水溶性と不溶性をバランスよく
発酵大麦エキスの原料である大麦には様々な栄養素が含まれていますが、最も特徴的なのが食物繊維です。大麦は穀物の1つですが、野菜に匹敵するほどの食物繊維を含んでおり、同じ穀物である白米に比較すると約20倍もの食物繊維が含まれています。玄米と比較しても約3倍と多く、炊く前の状態での比較ですが、ごぼうやサツマイモよりも多くの食物繊維を含んでいます。食物繊維の総量もさることながら、大麦は、水溶性の食物繊維を多く含んでいることもポイントです。今回はこの2種類の食物繊維についてのお話です。
最近になって注目された食物繊維
食物繊維の存在は古代ギリシャの頃から知られていましたが、食物繊維は体に吸収されないことから、栄養(メリット)がないもの、必要な栄養素まで排出してしまうもの、といった認識で、栄養素として高く評価されてはいませんでした。
その状態が長らく続き、ようやく食物繊維の重要性が注目され始めたのは1900年代に入ってからのこと。1900年代の初めごろから、様々な研究者や企業によって、食物繊維が便秘や大腸の病気への良い影響が研究され始め、1970年代には、摂取量不足で大腸がんリスクが高まるとの研究結果が出たことから、一気に注目が集めるようになりました。日本では2000年になって目標摂取量が設定されています。
食品から摂取できる栄養素としては、タンパク質、脂質、炭水化物(糖質)、ビタミン、ミネラルの五大栄養素がよく知られていますが、現在ではこれに食物繊維を加え、六大栄養素と呼ばれることもあります。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維
食物繊維とは1種類の成分だけを指すのではなく、多くの種類があります。ヒトの消化酵素では消化されない、食物に含まれる難消化性の成分のすべてを指します。多くは植物性ですが、キチン・キトサンなど動物性のものもあります。
食物繊維には、水に溶ける「水溶性」と水に溶けない「不溶性」に大きく分けることができます。どちらも便秘の解消に有用ですが、それぞれ違った作用で腸内環境の向上に役立っています。
水溶性食物繊維の効果
水に溶けるとゲル状(ゼリーやこんにゃくのような質感)になります。不要なものを便に取り込み、また、便をやわらかく・排出されやすくします。また腸内の善玉菌のエサともなるため、腸内環境の改善も期待できます。
また、最近では、コレステロールの吸収の抑制、急激な血糖値上昇の防止など、整腸以外の効果も確認されています。
不溶性食物繊維の効果
一般に「食物繊維」としてイメージされる効果を有するのが不溶性食物繊維です。腸内にとどまる時間が長く、腸壁を刺激することで排便を促すぜん動運動を活発にします。また、水には溶けませんが、水を吸って何倍にも膨らむことで、便の嵩を増し、便を出しやすくする特徴もあります。
腹筋が弱い女性に多い弛緩性便秘(ぜん動運動が弱く、便が動きにくい)に効果が高いのはこの不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は、水を吸って膨らむことで効果を発揮するので、たくさんの水分を同時に摂るようにしましょう。吸収する水分がなければ、十分に働くことができず、便を固くし、便秘を悪化させてしまうこともあります。
注意したい食物繊維のバランス
水溶性と不溶性、どちらも優れた効果のある成分ですが、水溶性:不溶性を1:2の割合で摂取することが最も理想的とされています。食物繊維を多く含む食品であれば、たいていは両方を含んでいますが、多くの食品では不溶性の食物繊維が多く含まれているため、水溶性食物繊維は不足しがちになるといわれています。
大麦が優れているのは、水溶性食物繊維を多く含むというところ。水溶性:不溶性を約2:1と、理想のバランスとは逆の割合になっており、不足しがちな水溶性食物繊維を補うのに非常に適しています。大麦に含まれる水溶性食物繊維は、βグルカンといい、血糖値上昇を穏やかにする効果、コレステロールの吸収を抑制する効果などで、健康食品として昨今注目を集めています。
大麦は、押し麦として販売されているものを10~20分茹でるだけで、簡単に食べることができますのでぜひ、食生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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