ビタミンB群の過剰摂取による健康への影響
健康的な食生活を送るためには毎日様々な栄養素を取る必要があります。例えば、健康を維持するために必要な成分として知られるのが五大栄養素は、エネルギー源となったり、体を構成する組織の一部となったり、体の調子を整えたりと、それぞれ重要な役割を果たしています。(五大栄養素:糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル)
どの栄養素も健康の維持には必要不可欠なものですが、栄養素もただたくさん摂ればよいというものではありません。わかりやすいところでは、糖質や脂質の摂りすぎは肥満を招き、様々な生活習慣病の原因となるのは周知の事実です。過ぎたるは及ばざるがごとし、体に必要な栄養素でも、摂りすぎは健康を害する原因となることもあるのです。
ビタミンB6、B12の摂りすぎによる肺がんリスク
今回過剰摂取による害が示唆されたのは、ビタミンB6とビタミンB12。男性の場合に限られますが、サプリメントによる過剰摂取が長期間に渡った場合に、肺がんのリスクが高まること、特に喫煙の有無でリスクの高まり方に差があることが明らかになりました。
調査は米国立衛生研究所によるもので、アメリカの56~70歳までの7万7000人以上を対象に、10年間にわたって行われたという大規模なもの。ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー(Journal of Clinical Oncology)に論文が掲載されています。
調査の結果、肺がんの発症リスクが最も高かったのは、男性の喫煙者で、10年間継続して、ビタミンB6を20mg/日以上、ビタミンB12を55μg/日以上をサプリメントから摂取していたグループで、サプリメントを摂っていなかったグループに比較すると、3~4倍肺がん発症のリスクが高くなっていたとのこと。
また、非喫煙者のグループでも、ビタミンのサプリメントを摂っていたグループは、摂っていなかったグループに比べ、肺がん発症リスクは2倍になっていたそうで、これらの結果より、ビタミンB6とビタミンB12の過剰摂取が、肺がん発症リスクの増大に関連していると結論付けられています。
(なお、女性の場合には過剰摂取によるリスク増大の傾向は見られなかったとのこと)
サプリメントを摂取する場合は成分表示をよく見て
厚労省が定めている食事摂取基準によると、ビタミンB6の摂取必要量は1日1.4mg、B12は2.4μgとなっています(ともに2015年、男性の基準)。リスクが高いグループは、B6は約14倍、B12は約23倍も過剰に摂っていたということになります。
ビタミンB6はまぐろやかつおなどに多く含まれていますが、ともに100gあたり0.7~0.9mg程度しか含まれていませんので、食品から20mgを継続して摂取することはあまりないでしょう。ビタミンB12は二枚貝に多く含まれており、しじみの場合、100gあたり64μgと55μgを超えますが、しじみ100gを一気に食べる機会はほぼないでしょうから、これも食品からの過剰摂取はあまり気にしなくていいはずです。
調査の結果にもありますが、問題はサプリメントで摂取している場合です。サプリメントでは、多めに配合されていることが珍しくないため、メーカーが推奨する目安量だけでも、必要量を十数倍で超えることも普通です。
これに加えて食品からも摂取するわけで、サプリメントを継続して摂った場合は、過剰摂取になる可能性は十分あり得ます。
食事の支度や食事にかけられる時間は限られており、外食も発達している環境もあって、食事だけで栄養素のバランスを維持するのは至難の業であり、サプリメントの活用は、不足している栄養素を補うには非常に有効な方法です。また、サプリメントであれば、自分が摂るべき量を調整することも容易です。
一般に「良い」栄養素だから摂る、不足しないようにとにかく多めに摂るというのではなく、自分のライフスタイルに合わせて、必要なものを必要なだけ、賢く選んでいきたいものです。
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