ピーマン、赤ピーマン、パプリカは全部同じもの?
「子供が嫌いな野菜」のアンケートをとると、かなりの頻度で上位に入るピーマン。子供には敬遠されることが多いピーマンですが、はっきりと個性のある味は料理の味に良い変化をつけてくれるので、料理によってはピーマンがないと味が決まらない、というものも多いですね。
ピーマンといえば緑色で、手のひらに乗るくらいの大きさのものが一般的ですが、同じくらいの大きさで赤や黄色のものを見たことはないでしょうか?たまに入荷している程度で、値段も普通のピーマンよりかなり高いので、食べたことがない方もいるかもしれませんね。
ピーマンとカラーピーマンの違い
普通ピーマンとカラーピーマン、色が全然違っているので、別の品種かとも思えますが、実は全く同じもの。通常食べている緑のピーマンは、完熟前の未成熟な実でを収穫したものなのです。ピーマンを緑色の段階で収穫せずに育て続けると、最終的には赤や黄色に変化します。
ピーマンといえば苦みや青臭さが特徴ですが、完熟する、すなわちカラーピーマンの状態になると、苦みが薄れ、甘味が増して食べやすくなりる一方で、シャキシャキした食感は失われてやわらかくなります。栄養にも変化があり、ビタミン類やカロテンなどの栄養素は、完熟前と比べると3倍~4倍程度にもなります。
栄養価が高いと聞くと常にカラーピーマンのほうがいいような気もしてしまいますが、色、味、食感とあらゆるも違いますので、ピーマンとカラーピーマンは「別の野菜」としてそれぞれに合った食べ方をするのがよさそうです。
なお、緑のピーマンが開花後15~30日程度で収穫できるのに比べ、カラーピーマンの状態にまで育てる場合は、収穫は開花後60日とかなりの期間を要することになります。完熟させる分、1つの株から収穫できる数もカラーピーマンのほうが圧倒的に少ないので、価格もその分高くなります。
ピーマンとパプリカの違い
カラーピーマンのほかに、ピーマンと似ている野菜にパプリカがありますが、このパプリカもピーマンと「同じもの」という話を聞いたことはないでしょうか。確かに形はピーマンに似ていますが、ピーマンより大きいですし、色はカラフル、肉厚で苦くもありませんので、同じと言われてもピンとこない…と思っている方もいるでしょう。この2つは、先に解説したカラーピーマンのように同じ枝になるまったく同じものというわけではありません。
生物学の分類上はピーマン、パプリカは同じ「種」で、どちらもトウガラシ(Capsicum annuum、C.annuum、カプシクム アンヌウム)の1品種となっています。これは、トイプードルと柴犬がどちらも「犬」であるのと同じで、ほかにシシトウやトウガラシも「トウガラシ」の1品種になります。
一般にパプリカのほうが栄養価は高くなっていますが、パプリカで青椒肉絲が作れないように、それぞれ別の野菜と考えて利用してくのがいいでしょう。
なお、シシトウは通常辛くありませんが、たまに非常に辛いシシトウが混じることが良く知られています。シシトウは辛みの遺伝子を持っており、通常はこの遺伝子が働かないので辛くなりませんが、何らかの環境的な要因でこの遺伝子が働いてしまった場合には非常に辛いシシトウが出来上がります。
これに比べてピーマンは辛みの遺伝子を持っていないので単独で辛くなることはありません。ただし、ピーマンはトウガラシに近い野菜なので、非常に稀なケースで、トウガラシと交配し、辛いものができてしまうことがあるとのこと。 ピーマンは家庭菜園で栽培する野菜として非常に人気があります。これからピーマンの栽培に挑戦しようと考えている方は、トウガラシの近くには植えないほうがよさそうですね。
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