冬に備えて十分な眠りを確保しましょう
冬の始まりのことを、暦の上では「立冬」と言い、毎年11月の初めごろとなっています。今年も立冬が近づき、朝晩の寒さもだんだん厳しくなってきました。
冬の時期になると、ウイルス性の病気が流行したりしますが、インフルエンザもその1つです。インフルエンザの症状は、発熱、関節痛、筋肉痛、食欲不振や倦怠感など、一般な風邪と似ていますが、これらがかなり強く表れるのが特徴で、重症化すると命に関わるケースもあります。私たちの体には、免疫という病気を予防するシステムが備わっており、インフルエンザのような病気に対抗するのにも役立っていますが、子供や高齢者の場合、免疫力が未熟または低下しているため、特に注意が必要です。
免疫力とワクチン
ところで、この免疫とは、一度何らかの感染症にかかると、その元となったウイルスなど(抗原といます)が働けないようにするための「抗体」というタンパク質を作る能力を学習するシステムのことです。
免疫のシステムがあることで、次に同じ抗原が体に侵入してきた時は、素早く抗体を作ることができ、病気となって表れないようにする、もしくは症状を軽くすることができます。例えば、水ぼうそうや麻疹などにかかった人が、2度は同じ病気にならないと言われているのは、この免疫があるからです。
この仕組みを使った予防法が、ワクチン接種です。ワクチンとはウイルスや細菌などの抗原を元にした医薬品で、ワクチンを接種することで、実際に感染する前にあらかじめ体内に抗体を作っておくことができます。インフルエンザの予防のためには、このワクチンを接種する方法が非常に効果的で、毎年11月~12月ごろに全国の病院で受けることができます。
ワクチン接種では、摂取後すぐに免疫を獲得するわけではなく、その抗原に対する免疫システムを構築するのに数週間かかります。インフルエンザの流行が本格化するのは12月以降ですが、ワクチン接種が11月に行われるのはそのためです。
そして、ワクチン接種後の免疫獲得には本人の健康状態も影響しており、睡眠も免疫構築に大きな役割を果たしていることがわかっています。
睡眠不足が免疫力に与える負の影響
下記の研究は、睡眠不足が、ワクチン接種後の免疫獲得にどのような影響を与えるかを調査したものです。
Sleep Affects Potency of Vaccines
この研究は、サンフランシスコ大学のAric Prather博士らによるもので、40~60歳の男女125名を対象に、B型肝炎ワクチンを接種し、抗体検査を行うことで免疫の獲得状況を調査しています。実験中、被験者らは睡眠について記録を取り、睡眠の量、質がワクチン獲得に与える影響を調べました。ワクチン接種は計3回で、2回目は1回目の1か月後、3回目は2回目の6か月後という間隔で行われました。また、抗体検査は、2回目接種の後、3回目接種の後、3回目接種の6か月後の計3回行われました。
実験の結果、睡眠時間が6時間未満の人は、睡眠時間が7時間以上の人に比べて、十分な免疫を獲得できなかった確率が11.5倍という大きな差が表れたそうで、免疫獲得には睡眠量が大きな影響を与えていることが示唆されています。
インフルエンザでなくとも、一般に「風邪」とされる病気の多くは、ウイルスによるものが多いと言われています。寒く乾燥する冬はウイルスが活性化する季節。十分な睡眠を取り、免疫力を低下させないように心がけましょう。
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