健康長寿に大切な「フレイル」予防
最近、新聞やネットニュースを見ていると「フレイル」というワードを良く見かけるようになりました。フレイルとは加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能など)が低下し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの危険性が高くなった状態のことで、国内に少なくとも250万人が該当していることが日英の研究チームによって報告されています。この状況を重く捉えた厚生労働省が2018年にフレイル対策事業を本格始動すると発表しています。
詳しい資料:高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進 について(厚生労働省)
◆サルコペニア・ロコモティブシンドロームとの違い
フレイルと似た概念に、サルコペニアとロコモ(ロコモティブシンドローム)というものがあります。それぞれ提唱者が異なるため、単純には比べられませんが、この2つはおおまかには下記のように説明することができます。
サルコペニア:加齢に伴う筋肉量の低下、およびそれを原因として運動機能が低下した状態。
ロコモティブシンドローム:筋肉に加えて骨や関節、軟骨や椎間板などの運動器全般の衰えによって運動機能が低下し、要介護リスクが高まった状態。
サルコペニア・ロコモとフレイルとの違いは、フレイルがより広範囲な概念だということです。身体的な機能低下もフレイルの一面ですが、認知症やうつなどの精神・心理的問題や、貧困や引きこもり、孤立などの社会的問題をも含むのが、「フレイル」の特徴です。
◆フレイルは早期発見が重要
年齢を重ねると体力の低下や食事量が減少したと感じることがありますよね。フレイルは老化現象と一言で片づけられてしまうことが多いかもしれませんが、適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態とされています。
多くの方は、フレイルを経て要介護状態へ進むと考えられていますので、フレイルに早く気付き、正しく介入(治療や予防)することが大切です。本人が意識することはもちろんですが、やはり周囲の家族が気づくことが重要ではないかと思います。身内に「もしかしてフレイルでは?」と疑われる方がいましたら、下記のURLでフレイルチェックをしてみてはいかがでしょうか。
厚生労働省作成フレイルチェック:https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf27/documents/000122860.pdf
◆フレイル対策
フレイルが重症化しないためにはどうすれば良いでしょうか。バランスのよい食事と適度な運動が基本と言われていますが、具体的には下記の3つがあります。
- 有酸素運動で筋肉量減少を抑制する。
- タンパク質を多く含む肉や魚、大豆、牛乳の摂取で筋肉量を増加する。
- 積極的な「社会参加」で日々の活動やしっかりとした食事を意識する。
また、しっかり食べるためには口腔ケアも欠かせません。毎食後の歯磨き、定期的な歯科受診などで、口の健康も意識しましょう。
日々の生活の中で、まずは基本である運動・食事について気をつけなければいけませんが、社会参加について意識し、実行することもフレイル予防の大切なポイントです。本人と周囲の家族、地域社会が一緒に考えていきたい問題ですね。
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