お腹の調子を整える ―プレバイオティクスとプロバイオティクスの歴史―



お腹の調子はいかがですか?

「プレバイオティクス」、「プロバイオティクス」は既に皆さんご存知のキーワードだと思います。これらは「食べることで腸内菌叢(腸内フローラ)を整え、健康増進や健康維持に役立つもの」と考えることができます。腸内環境の悪化は様々な生活習慣病や肌荒れ、肩こり、老化などにもつながると言われていますから、お腹の調子は気になりますよね。

 

プレバイオティクスとプロバイオティクス

これら2つはどう違うのでしょうか。

プレバイオティクスは、ヒトの体にとって有益な腸内細菌の「エサ」とされており、代表的なものとして難消化性オリゴ糖が挙げられます。

一方、プロバイオティクスは、腸内で健康増進・維持に役立つ働きをする「生きた菌」とされており、はっ酵乳,乳酸菌飲料,納豆,生菌製剤などがあげられます。

 

プレバイオティクスとプロバイオティクスの発展は科学者同士の”バトル”が大きく影響している?

1885年に発酵学者であるL.Pasteur(パスツール)が腸内細菌叢はヒトに必需の生物であると性善説を唱えました。それに対して、1886年に腐敗に関する研究者であるM.Nenckiはパスツールの意見に真っ向から否定する見解を示しました(性悪説)。発酵学者が腸内細菌叢の有用性を唱え、腐敗学者がそれを否定するという性善説vs性悪説の火ぶたが切って落とされたのでした。

この結論としましては、後年「腸内細菌叢のバランスが重要」というところに帰着するのですが、その歴史の中で性善説は有益な腸内細菌を増やすという、プレバイオティクスの開発に繋がっていきます。

一方、性悪説から腸内腐敗の抑制のために有益な菌を摂取するプロバイオティクスの開発が発展したと考えられています。

 

プレバイオティクス、プロバイオティクスの現在

ちなみに、これらの言葉が日本で初めて出てくるのが1990年。腸内細菌研究の第一人者である光岡知足先生の「腸内細菌学」という書籍にプロバイオティクスという言葉が登場します。

現在に至るまでの30年間の研究の中で、プロバイオティクスが胃の調子を良くしたり、免疫をアップさせたりすることが分かってきました。また、腸内菌叢が、肥満、アレルギー、喘息、うつなどに大きな影響を及ぼしていることが分かってきており、プレバイオティクスの果たす役割が重要視されています。

最近では、どのような腸内菌叢が良いのか?またどのようにすれば腸内菌叢を改善することができるのか?といった研究が進んでおり、プレバイオティクスやプロバイオティクスは、さらに私たちの生活の中で重要になってくると考えられます。


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