尿酸値を下げるための基本的な対策
激痛で知られる痛風は、血中尿酸値が上がった状態が続くことで発症しやすくなる病気です。
尿酸は代謝の過程で発生し、血液中に溶けて体内を循環していますが、そのうち一定量は尿とともに排出されます。ですが、排出される尿酸の量が減ったり、排出量以上に尿酸が作られたりしてしまうと、血中に溶けている尿酸の濃度は濃くなり、溶けきれなくなったところで結晶(固形)となって関節に溜まっていきます。
何らかのきっかけでこの結晶が関節から剥がれ落ちたとき、体内の免疫細胞である白血球はこの結晶を異物とみなして攻撃しますが、このときの炎症が痛風発作の激痛になります。
足の親指の付け根で発生しやすいのは、体の中心から遠く血液の温度が低いために結晶化が起こりやすいことによります。
作られる尿酸の量を減らす
血中の尿酸値濃度は、100mlあたり7.5㎎以下(7.5mg/dL)であれば「正常値」とされ、絶対ではありませんが、痛風発症の可能性が低いとされています。尿酸の濃度を上げないようにするには、①作られる尿酸の量を減らす、②排出される尿酸の量を増やすのいずれか、または両方の対策を取る必要があります。
プリン体を含む食品の摂取量を減らすのは、①の作られる尿酸の量を減らすための対策です。尿酸はプリン体が分解されてできる副産物なので、食事からとりこむプリン体の摂取量を減らすことで、作られる尿酸の量も減らすことができます。
ただし、プリン体はあらゆる生き物の細胞の核に必ず含まれる成分なので、まったくゼロにするということはできません。私たちが活動するためのエネルギーは、核の中にプリン体の形で蓄えられてるため、生きているだけで必ずプリン体は分解され、副産物である尿酸が作られます。
気を付けるべきなのは、通常よりも多くの尿酸値が作られてしまう、代謝が活発になるような活動です。激しい運動(筋肉細胞を代謝)や、過度の飲酒(肝細胞の代謝)は、プリン体食品を食べたか否かに関わらず、尿酸値が高くなる原因になりますので、控えるのが無難です。

有酸素運動は積極的に行いましょう!
排出される尿酸の量を増やす
作られる尿酸の量を減らすのと同様に重要なのが②の排出される尿酸の量を増やすための対策です。
痛風の予防で言われる「水を1日2リットル以上飲む」ことは、排尿の回数を増やすことを狙ったものです。排尿の回数を増やすことで、排出される尿酸の合計量が多くなるというわけです。
もう1つ、1回あたりの排出量を増やすことも効果的です。尿酸は非常に水に溶けにくい物質であるため、余剰分を1回の尿にすべて溶かし込んで一気に排出することはできませんが、アルカリ性の水溶液には比較的溶けやすくなるため、尿をアルカリ性にしやすい食品を積極的に摂ることが求められます。
アルカリ食品かどうかは、食品が含むミネラルがアルカリ性か否かで判断します。多くの野菜、果物、海藻、きのこ類がこれに当たります。
尿酸値を下げるためには、複合的な対策が必要です。尿酸値の高さを自覚している人は、プリン体カットの食品を摂るだけで終わりにせず、作られる尿酸の量を減らす、排出される尿酸の量を増やすの両面から、少しずつ対策するようにしましょう。また、当然ながら正常値を超えて尿酸値が高くなってしまった場合は(一般には8.0㎎/dL以上)医療機関による治療が必要になります。
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