たくさん寝ているのに眠いのは、鉄分不足が原因かもしれません



日本人の睡眠時間が短いことは国内・国外問わず知られていますが、私は毎日7時間以上寝ている、という人も多いと思います。

健康的な生活を送るのに必要とされる睡眠時間は7~8時間、毎日そのくらいは寝ているのに、なぜかいつもだるい、寝たりないと感じる場合、睡眠不足とは別のところに理由があるかもしれません。

 

貧血が眠気を引き起こしている?

10代から40代の女性に多い、と言われる貧血。よく「血が足りてない」というような言い方がされることがありますが、正確には、血液中の赤血球や、その中に含まれるヘモグロビンの量が減ることで起こります。

ヘモグロビンはタンパク質の1種で、酸素とよく結びつく性質を持っています。赤血球の役割は全身に酸素を運ぶことですが、これはヘモグロビンが酸素と結びつく性質を利用しています。赤血球中のヘモグロビン量や、赤血球そのものが減ってしまうと、運べる酸素の量が減ってしまうため、簡単に言えば全身は酸欠状態になります。

急激に貧血が起こった場合、私たちの体は呼吸を増やしたり血流量を増やしたりすることで、酸欠状態を解消しようとするため、動悸・息切れが起こることがあります。ですが、貧血が緩やかに進行し、慢性化しているような場合には、酸欠状態に体が慣れてしまうため、これといった自覚症状がないこともあります。そのため、特に健康状態に問題がないと思っていたのに、血液検査をすると貧血だったということが、特に女性の場合は珍しくありません。

貧血による酸素不足は全身に及びますので、当然脳も酸欠状態になります。脳が酸欠状態になっていると、だるさ、集中力の低下、そして眠気を感じるというわけです。

なお、立ち眩みやめまいなど、一般に「脳貧血」と呼ばれる症状は貧血とは異なります。急な動きによって脳への血流量が一時的に減少する、低血圧が引き起こす症状です。

 

貧血の原因

貧血の原因には様々なものがありますが、最も多いのがヘモグロビンを作るための鉄分の不足です。鉄分不足による貧血は、鉄欠乏性貧血と呼ばれており、貧血の7割はこの鉄欠乏性貧血となっています。

鉄欠乏性貧血は性差が大きい症状で、女性に多くなっています。女性は毎月月経によって一定量の血液が排出されてしまうので、男性に比べて鉄欠乏性貧血になりやすくなっています。また、妊娠している場合は特に貧血になりやすくなっています。体内の栄養素が優先的に赤ちゃんに使われてしまうので、普段から不足気味の鉄分はさらに足りなくなり、妊娠前は健康そのものだった方でも、貧血を指摘された経験を持つ方は多いのではないでしょうか。

 

鉄分を含む食品

鉄分不足による貧血、それによって眠気が引き起こされている場合、鉄分の補給によって眠気や疲れが解消されるケースがあります。貧血は自覚症状に乏しいため、特に女性の場合は、特に体調におかしいところがなくても毎日の食事で意識して鉄分を摂ることが大切です。

食品に含まれる鉄分には、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。ヘム鉄は動物性の食品に、非ヘム鉄は植物性の食品に多く含まれています。この2種類は、吸収率に大きな差があり、鉄分を補う目的で食べるであればヘム鉄を含む動物性の食品の方がおすすめです。

鉄分が多い食品といえば何と言ってもレバーですが、このレバーに含まれているのはヘム鉄です。特に豚レバー・鶏レバーに豊富に含まれており、100gで1日に摂取が推奨される量(10~14mg)のほぼ全量が摂れます。

ただ、レバーはビタミンAが多いため特に妊娠中は摂取量が制限される食品ですし、レバーは苦手な方が多い食品でもあります。普通の人でも毎日そればかり食べるわけにはいかないですから、毎日いろいろな食品から少しずつ補うようにしましょう。

食べやすい食品では、鮎(5.5㎎)、しじみ(5.3㎎)、鶏ハツ(5.1㎎)、いわしの丸干(4.4㎎)、鴨肉(4.3㎎)、あさり(3.8㎎)、牛ヒレ(2.8㎎)、砂ぎも(2.5㎎)などにも多く含まれています。

また、水分が抜ける加工食品は100gあたりの含有量が多くなるため、少量でも鉄の補給に有効です。味が濃いものが多いので、出汁や味付けに少量利用するのがいいでしょう。あさりの佃煮(18.8㎎)、煮干し(18.0㎎)、干しえび(15.1㎎)、はまぐりの佃煮(7.2㎎)、かつおぶし(5.5㎎)、ビーフジャーキー(6.4㎎)などに多く含まれています。

 

鉄製の調理器具

食品ではありませんが、調理時に鉄製の鍋を使うことも鉄補給には効果があります。調理中に鉄分が料理の中に溶けだして、鉄分量の底上げになります。フッ素樹脂加工されているお鍋は使い勝手がいいものですが、貧血に悩んでいる人は、鉄製のフライパンや中華鍋を使ってみましょう。焼く・炒めるなどの短時間調理よりは、煮込み料理など水分があって時間がかかる料理の方が鉄は溶けだしやすくなります。

また、今は使う人が少なくなりましたが、お湯を沸かすときに鉄瓶を使えば、鉄を補いやすくなります。ただし、コーヒーに含まれるカフェインやお茶に含まれるタンニンは鉄の吸収率を下げるので、白湯の状態で飲むか、麦茶やハーブティーなど、タンニンが少ない飲み物を淹れるようにしましょう。

 

これと言った病気がないのに、毎日眠気が取れない、疲れやすいと思っていても、年のせいかな?で済ませてしまうことも多いですが、貧血も疑ってみましょう。気が付いたら全身酸欠!なんてことがないようにしたいですね。

 

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