去年は大丈夫だったのに…花粉症は突然始まります



毎年多くの人が悩まされている花粉症。特に2月~5月にかけて多く花粉が飛ぶスギやヒノキの花粉症患者が多く、日本人の3~4人に1人が花粉症とも言われています。特に近年では子供も含む若年層の患者の増加が指摘されており、2016年に実施された東京都の調査によると、東京都民の48.8%がスギ花粉症患者である、という結果も報告されています。

今現在は花粉症でない人でも、花粉に曝される量が増えると突然発症すると言われており、今年は自分かも…?と毎年戦々恐々とする人も多いのではないでしょうか。

 

新しく花粉症になる理由

花粉症をはじめとして、アレルギーの多くは、抗原となる物質が体内に侵入することで始まります。花粉症の場合、抗原は当然花粉(厳密には、花粉に含まれる特定のタンパク質)です。

花粉症の症状が始まっているかどうかに関わらず、花粉が体内に侵入すると、花粉を排除するシステムに使われる花粉と結合するための「抗体」という物質が作られます。抗体は脂肪細胞に結合して蓄積され、新たな花粉の侵入に備えています。再び花粉が侵入すると脂肪細胞上の抗体は花粉と結びつきますが、その時に脂肪細胞からは、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質が出されます。これらの物質は、くしゃみや鼻水などの花粉症の症状を引き起こします。本来であれば、くしゃみや鼻水などにより抗原を追い出して終了するところが、花粉が侵入し続けることで、症状も出続けることになります。

以前は何ともなかったのに、ある年から花粉症になるのは、脂肪細胞上に蓄積された抗体の量が関係しています。蓄積量が少ない場合は抗原は反応しませんが、蓄積された抗体量が許容量を超えると、抗原が反応して花粉症の症状が出始めます。

また、抗体が作られる量も人によって異なるため、花粉が多く飛ぶ場所に暮らしていても花粉症が始まる年齢は人によって異なり、老人になってから発症するというケースもあります。

 

花粉症とともに増える果物アレルギー

鋳型に対する鋳物に例えられるように、抗体は抗原に対してぴったり結合するように作られるため、スギ花粉用の抗体とハウスダスト用の抗体は当然異なります。また、同じ「花粉」であっても、スギか植物とイネ科植物の抗体は全く異なり、スギ花粉症だからといってイネ科植物花粉症であるとは限りません。

しかし、やっかいなことに、抗体は抗原と似た構造を持つ別の物質に対しても反応し、元々の抗原とは別のアレルギーを引き起こす場合があります。例えばイネ科植物の「カモガヤ」の花粉症の人で、別のイネ科植物「オオアワガエリ」花粉には抗体を持たないのにアレルギー反応を示す、というようなことです。これを交差反応と言い、抗原の構造の類似性が70%以上あれば、発生する可能性があると言われています。

交差反応は、上記の例のように花粉どうしでなくても起こります。花粉症患者の増加とともに増えていると言われているのが果物アレルギー。これも交差反応であることが多くあります。例えば北海道などでよくみられるシラカバも花粉症の原因となりますが、これと類似の抗原を持つのがバラ科植物の果物。リンゴやモモ、アンズなどが該当し、口腔アレルギー(口の中・周辺のみに限定されるかゆみやしびれなど)を発症する人が増えています。

多くの人が悩まされているスギ花粉症も交差反応を起こす食品があり、果物ではありませんが、トマトによる交差反応が報告されています。

一般的に、交差反応のアレルギー症状は口腔アレルギーがほとんどで、症状も軽く、食品を加熱すると反応しなくなる人が多いようです。もちろん重篤な症状が出る可能性もありますので、違和感を感じたらすぐに食べるのをやめ、症状によっては医療機関を受診する必要があるのは、通常の食物アレルギーと同じです。

 

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