食品のGABAは脳には届かない?血液脳関門の働き
発酵大麦エキス情報サイトでもたびたびご紹介している健康成分がGABA(ギャバ、γアミノ酪酸)です。発酵大麦エキスに含まれる代表的な健康成分であり、血圧降下作用や、ストレス軽減などの様々な健康効果が期待されている成分です。GABAは様々な動植物の体内に存在していますが、人間の場合は脳や脊髄などの中枢神経系にあって、神経を静める神経伝達物質として働いています。
GABAは食品から摂取することができますが、消化・吸収され血液に乗って脳まで運ばれても、血液脳関門を通過できないため、そのまま脳の働きに作用することはないという話を聞いたことはありませんか?この説はおおむね確定的となっていて、食品中のGABAがそのまま神経伝達物質として使われることがないというのは、現在の共通認識となっています。
血液脳関門とは何か
この話に出てきた血液脳関門、どのようなものかご存知でしょうか?名前に「関門」とありますので、血管を防ぐように作られた弁のようなものを想像するかたもいらっしゃるかもしれませんが、実際は、血液脳関門は脳の毛細血管の壁に無数にあります。
私たちの体を動かす栄養素や酸素は、血液に溶け込んで全身に運ばれています。血液の行きつく先、毛細血管の壁は「上皮細胞」からできていますが、この細胞のつなぎ目はかなり緩くできていて、無数の隙間が空いています。赤血球は大きすぎてこの隙間を通れませんが、それより小さい酸素やアミノ酸などはこの隙間を介して交換されています。
一方、脳内の毛細血管には、このような上皮細胞の隙間がありません。また、その周りを別な細胞や基底膜がぴったりと覆っていて、イオンのような小さな物質も通さないほどに隙間なく密着しています。
この隙間のない血管の壁にあって、血液から必要な栄養成分のみを血管の外側(脳脊髄液)に受け渡し、また、脳脊髄液から不要になった物質を血液に受け渡す役割を果たしているのが、血液脳関門です。
血液脳関門が通すのは大きく分けて3種類の物質に分けられます。
1つは血液脳関門の構成成分(脂質)によく溶ける脂溶性の高い物質、2つ目はグルコースやカルボン酸などの血液脳関門に専用の受け渡し物質(トランスポーター)がある水溶性の物質、3つ目はイオン(イオン専用のドア「イオンチャネル」を通る)。GABAは水溶性のアミノ酸であり、血液脳関門にトランスポーターがないため、血液脳関門を通ることはできません。
さて、血液脳関門を通ることができないGABAですが、食品として摂取することによるストレス軽減の効果は確認されているため、脳を介さない作用ルートがあることが示唆されています。脳ではなく腸に作用し、腸から脳に続く神経を刺激しているのではないか、というのもその1つ。腸は第二の脳とも言われている通り、腸の作用とともに、GABAの働きについても研究が深化することが期待されています。
こちらの記事もおすすめ
尿酸値を下げるための基本的な対策
最近よく見る?殺菌乳酸菌(死菌)とは
最新のがん検診研究
発酵大麦エキス情報ポータルサイト事務局では、月に1回当サイトの更新情報をメールマガジン形式でお送りしています。メールマガジンのご登録は以下のバナーをクリックしてください。