焼酎粕の農業利用



焼酎粕にはアミノ酸やペプチド、オリゴ糖など、人の体にとって有用な栄養成分が豊富に含まれています。大麦に由来するこれらの成分は、健康食品素材「発酵大麦エキス」として有効活用されています。

ところで、焼酎粕はこのほかにも様々な分野で活用されていることをご存じでしょうか。例えば、農業分野。近年の研究により、焼酎粕は環境保全型農業の実現に有効な素材であることが明らかにされつつあります。


環境保全型農業

環境保全型農業とは「農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業」と定義されていて、農林水産省が推進しています。生産性とのバランスを取りながら、環境への負荷をできる限り減らしていく農業のことです。エコ農業とも呼ばれているようです。



焼酎粕は液状です

焼酎粕を利用した最新の化学農薬低減技術

実は焼酎粕、上手に使用することで化学肥料や農薬の使用量を減らせることがわかってきました。そのため、この環境保全型農業にも貢献できるかもしれません。ここでは焼酎粕を利用した最新の化学農薬低減技術についてご紹介したいと思います。


〇焼酎粕はジャガイモそうか病を抑制

ジャガイモそうか病は日本のみならず、世界中のバレイショ栽培で最も問題となる土壌病害です。ジャガイモの表面に茶色のかさぶたのようなものができて、食用としての価値を大きく損ないます。

長崎県農林技術開発センターらの研究によると、ジャガイモ種いもに焼酎粕加工液を浸漬処理すると、ジャガイモそうか病の種いも伝染を抑制できるとのことです。化学農薬の使用量を減らし、農業生産者と消費者の安全安心につながることが期待されます。


〇焼酎粕はトマト青枯病を抑制

青枯病菌はトマトやナスなどのナス科植物をはじめ、200種以上の植物に感染し、農作物に甚大な被害をもたらします。本病は土壌伝染性の病害であり、一度汚染された土壌から病原菌を除去することは困難です。

九州大学農学部の古屋教授らの研究によると、焼酎粕加工液をトマトに噴霧すると、植物病害に抵抗する遺伝子の発現が上昇し、植物免疫機能が向上するとのことです。また、焼酎粕を微生物防除資材と併用した場合、防除効果が高まるとの研究結果が得られています。

焼酎粕と既存防除技術を総合的に組み合わせることで、本病を抑制できる可能性が期待されます。

また焼酎粕は、農業分野や健康食品の他にも飼料やバイオガス燃料として活用されており、幅広い分野で利用可能な有効資源です。

焼酎粕の新たな価値を見つけるため、三和酒類はこれからも研究を進めてまいります。

 

≪参考≫

平成30年度日本植物病理学会大会 口頭発表

「大麦発酵濃縮液の種いも上散布処理によるジャガイモそうか病の種いも伝染の抑制」

九州病害虫研究会第95回研究発表会 口頭発表

「焼酎粕加工液を用いたナス科植物青枯病の防除法について」

 

 

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