日焼け止めの使用は注意が必要!?ビタミンDとの関係



梅雨が明けると紫外線の強さが増す夏に差し掛かります。

紫外線は皮膚や目、免疫系に下記のような影響を与えることが知られていますから1、必要以上の紫外線を浴びないように皆さん紫外線対策をしていると思います。


【紫外線の影響】

皮膚 :しわ、皮膚がん発症

眼  :光角膜炎、光結膜炎、白内障、眼表面細胞のがん発症。光角膜炎がひどくなると失明に陥る。

免疫系:感染リスク高くなる、皮膚がんに対する身体防御低下、ワクチンの有効性低下


紫外線対策といえば、多くの方が日焼け止めを使用しているかと思います。皮膚へのダメージを抑えるためには一般的な方法ですが、実は紫外線を防ぐ一方で、体内のビタミンDを不足させる可能性が報告されています※2。ビタミンDは日光を浴びることにより、体内で生成されるからです。

※1:世界保健機構HP「The known health effects of UV」

※2:学校法人樟蔭学園 「ビタミンD欠乏 20代女性調査」大阪樟蔭女子大学 健康栄養学科の津川尚子教授、桒原晶子准教授らの研究チーム

 

【体内のビタミンD不足が引き起こす症状】

ビタミンDは、骨代謝、細胞分化・増殖、免疫と深く関わっているため、カルシウムの吸収率を高めたり、身体の免疫力をアップさせてくれる働きをします。不足すると骨粗鬆症※5、筋力低下※6、心疾患※7、癌※8、免疫低下※9を引き起こす可能性が考えられます。

 

【一日当たり、どれだけのビタミンDが必要?】

ヒトの体にとって必要なビタミンDは、日光を浴びることにより体内で生成されるものと、食事から摂取するものとがあります。

過度な日光浴は避けるとしても、適度に日光を浴びることは必要です。ある報告によると、7月の晴天日の12時であれば、札幌・つくば・那覇ではそれぞれ、4.6分・3.5分・2.9分、一方12月の晴天日の12時であれば、那覇、つくば、札幌ではそれぞれ7.5分・22.4分・76.4分の日光浴が必要なのだそうです※3

※3:J Nutr Sci Vitaminol. 59(4), 257-63 (2013)
「The solar exposure time required for vitamin D3 synthesis in the human body estimated by numerical simulation and observation in Japan.」

 

また、食事から摂取する量としては、国や年齢に応じて異なりますが、日本人の場合は一日当たりの目安摂取量が5.5μg/日(18歳以上の男女)と厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」で推奨されています。

但し、日本人のビタミンD摂取目安量は世界各国と比較して、非常に低く設定されていますので、目安量を摂取している場合でも不足に陥る可能性が少なくないようです。

以上のことから、日焼け止めを使用しつつ、いつもより多めにビタミンDを摂取するよう心掛けたいですね。

 

【ビタミンDを摂取するために】

ビタミンD が多く含まれる食品は、キノコ類(乾燥キノコにはより多く含まれる)や魚※4ですから、普段の食事に取り入れましょう。

また、サプリメントで摂取する方法もあります。多くの会社がビタミンD含有サプリメントを販売しています。サプリメントは手軽に摂取できるため、試してみてはいかがでしょうか。ただし、過剰摂取にはくれぐれも注意してくださいね。

※4:公益財団法人 骨粗鬆症財団HPのリーフレット「ビタミンDを多く含む食品」

 

この夏は紫外線対策とともに、日焼け止めによるビタミンD不足にも注意して、元気にすごしましょう。

 


※5:Arch Intern Med. 169(6), 551-61 (2009)
「Prevention of nonvertebral fractures with oral vitamin D and dose dependency:a meta-analysis of randomized controlled trials.」
※6:BMJ. 339, b3692 (2009)
「Fall prevention with supplemental and active forms of vitamin D: a meta-analysis of randomised controlled trials」
※7:Clinical Chemistry 60, 600-609 (2014)
「Vitamin D and Cardiovascular Disease: An Appraisal of the Evidence」
※8:Int J Epidemiol. 9(3), 227-31 (1980)
「Do sunlight and vitamin D reduce the likelihood of colon cancer?」
※9:Am J Clin Nutr. 91(5), 1255-60 (2010)
「Randomized trial of vitamin D supplementation to prevent seasonal influenza A in schoolchildren.」


 

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