ストップ!食中毒
暑さが年々ひどくなるのを実感する梅雨明けのこの時期、何かと話題に出るのが熱中症です。その陰に隠れて、露出度が低くなっている食中毒ですが、もっとも発生しやすいのは、8~10月です。厚生労働省の統計によると、平成29年の患者数は16,464名、死亡者も3名でした。世界に目を向けると、35.1万人(2010年、WHO試算)が1年間に亡くなっています。
冷たいものが美味しく感じるこの時期は、生のまま食べる機会も多くなるかと思います。そんな季節だからこそ、改めて食中毒について考えてみましょう。
どんな食中毒があるのか
食中毒といえば、ノロウィルスによるものがよく知られています。平成29年の1年間で食中毒になった人の約半数がノロウィルスによる食中毒でした。
ノロウィルスが冬場を中心に流行するのに対し、夏場に多くなるのは細菌感染による食中毒です。細菌が原因の食中毒の発生件数は、夏場は冬場に比べると2倍~4倍に達しており、細菌が繁殖しやすい季節であることが如実に表れています。
カンピロバクター症
ノロウィルスに次いで患者数が多いのがカンピロバクターによる食中毒です(14.1%)。
カンピロバクターは、もともと動物、特に鶏の腸内にいる細菌で、空気に触れるほどに弱るので、肉にしてすぐ、新鮮なほど菌が元気で感染の危険性が高まります。生肉や加熱が不十分な肉を食べると感染する恐れがあり、特に肉の新鮮さが売りの鳥刺し、トリワサ、鶏たたきなどの生・半生食品で、感染例が多く報告されています。
菌と接触した後2~5日後から症状が現れ始め、腹痛、嘔吐、下痢、発熱などが1週間程度続きます。
ウェルシュ菌感染症
3番目に多いのがウェルシュ菌による食中毒です(7.4%)。この菌は、人や動物の腸内、土や水など自然界に広く生息している細菌です。
この菌の厄介なところは、加熱調理すると「芽胞」という高熱に耐える休眠状態を作るところです。一旦芽胞を作ると、通常の加熱では死滅せず、例えば100℃で4時間加熱しても死滅させることができないというデータもあります。
ウェルシュ菌は酸素を嫌うため、酸素が少ない状態になるカレーやシチューなどの煮込み料理の鍋の中で芽胞を作り、料理が冷めると活動を再開・増殖して、食中毒の感染源となることがあります。夏のキャンプなどで前日に作ったカレーを翌日に加熱して食べる、などはよく加熱していても大変危険ですのでやめましょう。調理した食品は速やかに20℃以下に冷却するか、もしくは早めに食べきるようにしましょう。
サルモネラ菌感染症
ウェルシュ菌と同程度に患者数が多いのがサルモネラ菌によるものです(7.2%)。サルモネラ菌は様々な場所に生息している細菌ですが、最も食中毒の原因になりやすいのが卵と鶏肉です。
鶏の腸内には普通に見られる細菌で、肉にする過程で肉に付着したり、鶏の殻を介して卵の内部に入り込んだり、稀に親鳥の体内で卵に菌が入り込んだりすることもあります。
カンピロバクター同様、加熱が不十分な肉や卵を食べると感染する恐れがあり、特に幼児や高齢者の場合、細菌への感受性が高く注意が必要です。菌に接触して数時間~3日程度で症状が現れ始め、嘔吐、腹痛、発熱、下痢などの症状が3日~1週間続きます。
その他、病原性大腸菌(6.4%)、ブドウ球菌(2.0%)も報告例が食中毒の原因菌です。いずれも感染すると嘔吐や腹痛など辛い症状を伴います。
食中毒を防ぐ3つの原則
食中毒の3原則は「つけない」「増やさない」「やっつける」です。
つけない
手には様々な雑菌が付いています。食中毒菌を食べ物に付着させないように調理前には必ず手を洗いましょう。また、肉や魚を調理する場合はまな板を分けることや調理用具の殺菌を必ず行いましょう。
増やさない
細菌の多くは10℃以下で増殖が抑えられるため、食品を購入後は速やかに冷蔵庫で保管をしましょう。但し、冷蔵庫の中でも細菌はゆっくりと増殖するため、速めに食べることが大事です。
やっつける
ウェルシュ菌のような一部の菌を除き、ほとんどの細菌やウィルスは加熱によって死滅します。75℃、1分以上を目安に加熱調理しましょう。まな板や包丁といった調理器具の殺菌も大事ですので、熱湯消毒、または台所用殺菌剤を使用することも効果的です。
食中毒かなと思ったら
食中毒にかかったかもしれないと思ったら、早めに医師の診断を受けましょう。嘔吐や下痢の症状は、原因物質を排除しようとする体の防御反応です。むやみに市販の下痢止めを服用するのはやめましょう。
食中毒の症状は本当につらく、ひどい時には死に至りますから、万全な対策を心がけましょう。
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