眠くない、眠れない…そんなときは朝食を変えてみて



眠りには体や脳を休ませ、回復させる働きがありますが、さほど疲れていない日でも、私たちは夜になると自然と眠くなります。この仕組みには、夜になると脳から分泌される「メラトニン」というホルモンが関わっています。メラトニンは、脳のほぼ中心にある「松果体」という小さな器官から分泌されるホルモンで、体温や血圧を低下させ、自然な眠気を誘う働きをしています。

メラトニンは、また別のホルモンであるセロトニンというホルモンを材料に作られています。すなわち、夜にしっかりと眠りたければ、セロトニンの分泌を増やす必要があります。

 

脳のセロトニンは脳で作られる

セロトニンの材料となっているのはトリプトファンという必須アミノ酸です。トリプトファンは食品のタンパク質を消化・吸収して得られるアミノ酸ですので、腸で吸収され、一部はそのまま腸内でセロトニンとなります。腸内には体内に存在するセロトニンの90%が集中し、腸のぜんどう運動を活発にする働きをしています。

このように、セロトニンの大部分は腸内に存在していますが、それがそのまま脳に運ばれて脳内のセロトニンとして働くわけではありません。脳内で働くセロトニンは全体のたった2%ですが、トリプトファンのまま脳に到達し、そこでセロトニンに合成されます。

脳内のセロトニンは全体からみればごく一部ですが、様々な器官に作用しており、体内時計や体温の調節など生理的な働きをしたり、感情を左右するホルモンの分泌に関わって精神を安定させたりなど、幅広い働きを持っています。

 

朝食でトリプトファンを摂るべき理由とは

体内で使われる多くのタンパク質の多くは、体内に存在するタンパク質やアミノ酸を再合成して作られていますが、一部のアミノ酸はそのような再合成ができません。このような、体内にある材料で作れないアミノ酸を必須アミノ酸と言いますが、トリプトファンも必須アミノ酸の1つです。

必須アミノ酸は、体内で作れない分、食品から摂ることが求められますが、幸いにしてトリプトファンをを含む食品は多数あります。肉、魚などの動物性の食品はもちろん、大豆製品や乳製品、卵、ナッツなどにも多く含まれているため、様々な食品を食べることで自然と必要量を得ることができるでしょう。

より良い眠りを求めるならば、これらの食品を摂る時間が重要。タンパク質は消化・吸収が遅く、最低でも4~6時間を要するとされるため、食べてすぐにセロトニン合成に使えるわけではありません。また、トリプトファンからセロトニンが作られるためには、光の刺激も必要になるため、明るい時間に脳内に十分量のトリプトファンが届いている必要があります。

即ち、脳内でセロトニンを十分に作るためには、できるだけ早い時間に良質なタンパク質を含む食品を摂る必要がある、ということになります。

特に女性はセロトニンを作る能力が男性よりも弱く、トリプトファンが不足するとセロトニンが著しく減少する傾向にあります。豆腐や卵、牛乳などの口当たりが良い食品にも多く含まれていますので、眠りに不満がある方は、意識して朝食を摂ってみてくださいね。

 

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