学習効率を上げるのに、睡眠が重要である理由



難関の試験に挑戦するとき、少しでも勉強時間を確保しようと、勉強以外の生活時間を削った経験がある方は多いのではないでしょうか。少しでも勉強する時間を増やしたいという気持ちはわかりますが、寝る間も惜しんで勉強するような生活は、学習効率の面で考えるとあまり功を奏していない可能性があります。

学習した知識や技能は、即時に長期間覚えていられる「記憶」になるわけではありません。朝に電車の中で覚えた英単語のスペルを、夕方には忘れてしまう、ということはよくあります。自分の記憶として定着させるにはある程度の時間を要しますし、その仕組みには睡眠が関わっている可能性が高いからです。

 

記憶の種類とそれに対応する睡眠

学習した直後でなくても長い期間覚えていて、必要な場面で思い出して使うことができる、このような記憶を『長期記憶』と言います。長期記憶には2種類あり、言葉で説明できる「陳述記憶(宣言的記憶とも)」、体で覚える「非陳述記憶(手続き記憶)」にわけられます。陳述的記憶とは、机に向かって勉強したり、単語帳を覚えたり、本を読んだりするなど、「勉強」といって一般にイメージされる類の事柄の記憶です。一方、縄跳びの飛び方やピアノの弾き方など、身体的な能力として定着する事柄は手続き記憶に分類されます。

睡眠中に記憶が定着される仕組みについては研究段階のものが多いですが、睡眠によって記憶が向上する例は各種の研究で確認されています。

 

レム睡眠が記憶形成に重要な役割=研究

 

この研究は、睡眠を邪魔することで、記憶の形成・定着に与える影響を、マウスを使った実験で調査したものです。睡眠中のマウスのレム睡眠のみを邪魔した場合は、前日の学習内容を覚えていられなかったという結果を得られており、このことはレム睡眠が記憶の定着に関わっていること示唆しています。

 

Radically Improve Your Memory in Less Than an Hour

こちらは昼寝でも記憶の向上に影響があることを示唆する研究を紹介した記事。被験者に複数の単語を記憶してもらい、昼寝をしたグループとDVDを見たグループで、1時間内に記憶した単語のテストをしたもので、昼寝をしたグループの方がより多くの単語を記憶していられたという結果が得られました。

元の研究はこちら

 

勉強はいつするのが効果的か

ところで、英単語や年表などの暗記系の勉強は寝る直前が良い、と聞いたことはありませんか?朝に覚えた英単語を夜には忘れてしまうが、夜に覚えた英単語は次の日の朝になっても覚えている、というような実験が示されることもあります。

この説を強化するものとして、このような研究が発表されました。睡眠中に脳回路がクールダウンされる仕組みを解明

食事をする、歩く、勉強する、考えるなど、私たちは生活をする中で様々な行動をとっていますが、これらの行動は全て脳がコントロールしています。行動の内容によって脳の中のどの部分が働くかは決まっていて、働いている部分にある神経細胞は互いに活発に情報をやり取りしています。

当然学習をする際にも脳は働きます。何らかの勉強をしているとき、関わりのある脳部位の神経細胞の活動が活発になるわけですが、勉強が終わった後も神経細胞の活動は活発な状態が続きます。たくさんの細胞でこの状態が続くと、新しく情報をやり取りする神経細胞が足りなくなり、それ以上は覚えられなくなります。今回の研究では、この飽和を防ぐ仕組みとして、睡眠中の特定の脳波に、活発化した神経細胞を落ち着ける働きがあることが確認されました。

また、睡眠の直前に活発化した神経細胞はこの脳波の影響を受けないことも明らかになっており、これは暗記系の勉強は寝る直前にするのが良い、という説を補強するものでもあります。

 

 

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