地球温暖化が人間の栄養欠乏症を引き起こす!?



今年の夏は全国各地で40℃を超える猛暑や豪雨による被害が相次ぎました。
このような異常気象は日本だけではなく世界中で頻発していて、その原因は地球温暖化にあると言われています。

地球温暖化が今まで以上に進行すると、地球全体の気候が大きく変化し、海面の上昇や、干ばつによる水や食料の不足、生態系への影響などが危惧されますが、地球環境のみならず、我々人間の栄養状態に悪影響を与える可能性があると最近の研究で報告されています。

 

CO2濃度の増加は穀物に含まれる栄養を低下させる

2014年時点の大気のCO2(二酸化炭素)濃度は400 ppmであり、このまま地球温暖化が進んでしまうと2100年頃には550 ppm以上に達する可能性が非常に高いと予測されています※1。
そこで日米中研究チームがCO2濃度568〜590 ppmの野外条件下でイネを生育したところ、栄養(タンパク質、鉄、亜鉛、ビタミンB)が有意に減少したという結果が報告されています※2。

食事から摂取する栄養素の減少は飢餓状態を悪化させ、栄養欠乏症の有病率と重症度は全世界で増加してしまう可能性があります。特に米を主食とする東南アジアでは約6億人に影響が及ぶのではないかと言われています※1,2。

 

栄養欠乏症は様々な症状を引き起こす

これらの栄養素の摂取量が減少すると、体にはどのような影響が出るのでしょうか。
体内でタンパク質や鉄などが欠乏すると下記のような症状を引き起こします。

・タンパク質欠乏症※3
浮腫、毛髪の変色、ペラグラ様皮疹、下痢、低タンパク質血症

・鉄欠乏性貧血※4
息切れ、動悸、疲労感、脱力感、蒼白、味覚障害

・亜鉛欠乏症※5
皮膚炎、脱毛、性腺機能不全、骨粗しょう症、創傷治癒遅延、易感染性

現在のCO2濃度であれば人間の栄養状態に影響を及ぼすことはありませんが、温暖化がこのままのスピードで進むのであれば、栄養状態が悪化し、健康を損なう可能性があります。
私たちの未来をとても不安にさせる研究結果ですね。

なお、偏った食事でも栄養欠乏症を引き起こす恐れがありますので、栄養バランスの良い食事やサプリメントの利用なども普段から心がけていきましょう。

 

【参考文献】
※1 Science Advances 4(5), eaaq1012 (2018)
※2 Nature Climate Changevolume 8, 834–839(2018)
※3 静脈経腸栄養 25(3), 773-782(2010)
※4 大分大学医学部HP(https://www.med.oita-u.ac.jp/syuyou/ida.html)
※5 一般社団法人 日本臨床栄養学会「亜鉛欠乏症の治療指針2018」

 

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