大麦って体にいいね!



日本人の主食はお米ですが、世界を見渡すと、麦食文化が多く見られます。

日本では麦ごはんとして昔からなじみのある食べ物でしたが、かつて「臭くて美味しくない飯」というレッテルを貼られて、見かける機会が減った時期もありました。しかし、食品加工技術の進歩によって、美味しくて調理しやすい大麦の商品が出回ったことで、健康を気遣う方々を中心に頻繁に食べられるようになってきました。

このように、大麦はなんとなく体にいいよね・・・という漠然としたイメージがありますが、近年になり、科学的にその根拠が示されるようになってきました。

 

キーワードは「食物繊維」

大麦には、食物繊維が約10%含まれています。そのうち、60%が水溶性で、40%が不溶性の食物繊維です。大麦食物繊維で特徴的なのが、βグルカンの多さです。水溶性食物繊維の約75%がβグルカンであると言われています。このβグルカンの機能性は、世界各国からお墨付きをもらっており、アメリカでは「冠状動脈心疾患のリスクを下げる」の表示が、欧州では、「心臓疾患のリスク低減」等の表示が認められています(図1)。

図1.各国における大麦の健康強調表示

関与成分 表示許可内容 必要量
アメリカ βグルカンを含む全粒大麦と乾燥大麦、もしくはbetafiber 血中コレステロール低下による冠状動脈心疾患のリスク低減 βグルカンとして1日3g以上、βグルカンとして0.75g以上含む商品
カナダ 大麦穀物のβグルカン 血中コレステロール濃度の低減 1日3g以上、1g以上含む食品
EU 大麦βグルカン 血中コレステロール低下による心臓疾患のリスク低減 1日3 g以上
大麦・オーツ麦のβグルカン 食後血糖値の上昇抑制 1食中の糖質30 g当たり4 g以上
大麦・オーツ麦のβグルカン 正常な血中コレステロール濃度の維持 1食当たり1 g以上、1日3 g以上
大麦由来の食物繊維 糞便量の増加 100 g中6 gの食物繊維を含むパン製品、若しくはβグルカンとして1日3g以上
オーストラリア

ニュージーランド

βグルカンを含む大麦・オーツ麦 血中コレステロール低下 1食当たり1g以上、1日3g
韓国 大麦由来の食物繊維 正常な腸機能の維持 食物繊維として1日25~30g

 

日本のβグルカン研究

ここ10年で、日本人を対象とした試験も実施され、βグルカンが体にとって良い効果を及ぼすという論文が発表されました。

論文① コレステロールの低減1

βグルカンを高含有する大麦を用いて、BMIの高い日本人健常者を対象とした試験が実施されました。50%大麦を配合した麦ごはんを1日2食、12週間摂取した結果、血清総コレステロール、LDL-コレステロールが有意に低下したとの報告があります。

 

論文② 内臓脂肪面積を低下2

メタボリックシンドロームの日本人の男女(男性の腹囲≧85 cm、女性の腹囲≧90 cm、且つBMI≧24 kg/m2)を対象に、βグルカンを高含有する大麦50%配合した麦ごはんを1日2食、12週間摂取する試験を実施した結果、内臓脂肪面積が100 cm2以上のヒトにおいて、腹囲、BMI、内臓脂肪面積が有意に低下しました。

 

大麦に限らず、食物繊維を摂ることは、便の量と排便回数の増加がみられることや、肥満、糖尿病、冠状動脈心疾患のリスクが低減させることが報告されています3, 4。日本人の1日あたりの食物繊維の平均摂取量は1955年に20 gであったのですが、2015年には14 gまで減少しました。厚労省によると1日の目標摂取量は男性20 g、女性18 gとなっていますから、足りていないのは明らかです。

いつものご飯に大麦や玄米を加えることで、食物繊維を積極的に摂るようにしてみてはいかがでしょうか。

 

1) Shimizu C. et al., “Effect of high β-glucan barley on serum cholesterol concentrations and visceral fat area in Japanese men—a randomized, double-blinded, placebo-controlled trial.” Plant foods for human nutrition 63.1 (2008): 21-25.

2) Aoe S. et al., “Effects of high β-glucan barley on visceral fat obesity in Japanese individuals: A randomized, double-blind study.” Nutrition 42 (2017): 1-6.

3) Saito T. et al., “Fecal output, gastrointestinal transit time, frequency of evacuation and apparent excretion rate of dietary fiber in young men given diets containing different levels of dietary fiber.” Journal of nutritional science and vitaminology 37.5 (1991): 493-508.

4) Cho SS. et al., “Consumption of cereal fiber, mixtures of whole grains and bran, and whole grains and risk reduction in type 2 diabetes, obesity, and cardiovascular disease–.” The American journal of clinical nutrition 98.2 (2013): 594-619.

 

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