-2018年版-日本人の睡眠に関する調査
12月厚生労働省が毎年実施している、「国民健康・栄養調査」の結果報告書が12月11日に公開され、日本人の最新の睡眠状況が明らかになりました。 「国民健康・栄養調査」は、 国民の健康増進を図る活動の基本となる調査として、厚生労働省で毎年11月頃実施されており、その翌年に結果が公開されています。
調査は大きく「身体状況調査」「栄養摂取状況調査」「生活習慣調査」の3つに分類されており、睡眠に関する関する調査は「生活習慣調査」に含まれています。 平成29年の調査で、この生活習慣調査は6,598人(男性3,115人、女性3,483人)から回答を得ています。
睡眠時間が短い人の割合が拡大
様々な調査から、理想的な睡眠時間は7時間~8時間とされている一方で、日本人の睡眠時間は短いことがよく知られています。 睡眠不足の害については、近年になって多くの研究がなされており、「良い睡眠」に関する国民の関心も高まっていることも事実ですが、睡眠時間が短い人の割合は年々増加傾向にあります。
理想の睡眠時間が7時間~8時間とすれば、7時間未満で睡眠が不足していると考えることができます。10年前の平成20年の調査でも、睡眠時間が7時間未満の人は65.9%と高い割合となっていましたが、平成29年の調査では、73.4%と睡眠不足の人の割合はますます高まっています。

睡眠不足は全ての世代共通の問題
世代別にみると、男女ともに20歳代~50歳代の平均睡眠時間が短いのが目立ちます。ただし、70歳以上の世代ですら、7時間未満の人は男女とも半数を超えており、睡眠不足は全ての世代共通の問題と考えることができるでしょう。
また、睡眠時間が7時間未満の人の割合は、男性の場合は20歳代~50歳代までの世代間格差は大きくありませんが、女性の場合は40歳代と50歳代で特に大きくなっています。内訳を見ると睡眠時間が6時間未満の人が増えており、40・50歳代の睡眠時間の傾向に影響を与えていることがわかります。

女性の睡眠を妨げるもの
2018年の調査項目にはありませんでしたが、2015年の調査では、睡眠を妨げる要因についても調査されています。
まず、男性と女性では、睡眠を妨げる要因に違いが見られました。男性の場合、睡眠の妨げとなる要因として突出しているのは「仕事」になっています。男性が長時間の労働に従事している、または睡眠を妨げるような大きなプレッシャーを感じていることが伺えます。
一方で、女性の場合は「仕事」とともに「家事」「育児」も睡眠を妨げる大きな要因となっています。女性の負担について度々ニュースに上るようになってきましたが、家庭生活の維持にかかる作業が家族間でうまく分散されておらず、女性に負担が偏っていることが、睡眠にもあらわれていると言えるでしょう。
他には、「健康状態」も男女ともに睡眠の阻害要因として大きく、不眠に悩まされる人が一定数いることも伺えます。

次に、睡眠時間が7時間に満たない女性を世代別にみると、40~59歳の女性で睡眠の妨げになっているのは主に「仕事」と「家事」であることがわかります。類似の傾向は20~39歳の女性にも見られますが、若齢層に比べて家事の集中の程度が大きい、仕事で高いレベルを求められる、などが短い睡眠時間に表れているのではないでしょうか。
