植物性乳酸菌とはどういう乳酸菌なのか?



空前の乳酸菌ブームです。
ドラッグストアやコンビニに行くと様々な乳酸菌入りの商品を見かけます。 その中には、「植物性」乳酸菌という名称のものがありますが、どういう乳酸菌なのでしょうか。

そもそも乳酸菌とは?

乳酸菌とは、ブドウ糖を栄養源とした時に、その5割以上あるいは7割以上を乳酸に換える微生物の総称とされています。現在は、ラクトバチルス属、エンテロコッカス属などの20種類の属と200種以上が知られています。

植物性乳酸菌とは?

自然界の植物や、植物由来の発酵食品、例えば、味噌、醤油、漬け物などに棲む乳酸菌のことを指します。学術的な定義はありません。

植物性乳酸菌を釣る

よく、○○から乳酸菌を発見しました!といった文言を見かけますが、様々な微生物が混ざり合って存在する自然界や発酵食品からどのようにして乳酸菌を「見つける」のか疑問に思ったことはないでしょうか?
その方法を少しだけ紹介します。

まず、乳酸菌がいそうな?材料をすり鉢などで潰して、滅菌した水に混ぜ込みます。
次に寒天を入れて固めた栄養培地に、この液を少量捲き、30~37℃、酸素の少ない条件に置いておきます。乳酸菌がいれば1週間以内に寒天培地の上に白い点が見えてきます(これをコロニーと言います)

また、寒天培地には炭酸カルシウムを入れておきます。炭酸カルシウムは中性~アルカリ性ではほとんど溶けない状態で、寒天の培地は白く濁っていますが、酸性になると溶けて透明になります。乳酸菌は乳酸をつくりますから、コロニー周辺が透明になれば、それは乳酸菌である可能性が高いです。

そのようなコロニーを爪楊枝でつつき、新しい寒天培地に植え込むという作業を繰り返し、乳酸菌と思しき菌を釣ってきます。

寒天培地に生えた乳酸菌(白い塊の部分)です。乳酸菌の周りは寒天が透明になっています。

釣ってきた菌は、顕微鏡などで形態を観察したり、糖の資化性(どの糖を栄養源として利用しているか)をみたり、遺伝子を読み込んで、乳酸菌であることを確定します。安全性に関する様々な確認試験を行った後、健康機能に関する研究が進められていきます。

また、同時に多くの食品に利用できるよう、大量に培養生産する方法も検討されます。


植物性乳酸菌にはどういう強さがあるのか?

一言でいえば「耐える強さ」です。

「動物性」乳酸菌としてヨーグルトのブルガリカス菌、サーモフィラス菌が有名ですが、それらは、生育にミルクペプチドが必須であったり、お互いの共生関係(お互いがアミノ酸などの栄養分を作ってやり取りする)が必要であったりします。また単独で生育できるものについても比較的、栄養リッチな環境が必要になります。

一方で「植物性」乳酸菌は比較的栄養が少ない環境でも生き長らえ、塩などのストレスに対しても強いことから(中には塩がないと生育できないといった乳酸菌もいます)、様々な菌が存在するヒトの体内においても生き延びて何らかの働きをしてくれる期待があります。


植物性乳酸菌の機能について

最後に、乳酸菌による「腸内細菌叢の改善」効果を検証した実験を紹介します。

乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムに関する報告

健康な成人6人がLactobacillus plantarum(ラクトバチルス・プランタラム)ONC141株を含む発酵乳を摂取した実験では、糞便中のビフィズス菌、乳酸菌の占有率が20.9±13.0%から44.1±19.5%へと顕著に増加することが報告されています。 また、当植物性乳酸菌は糞便中からも検出されたことから、生きて大腸まで到達することが明らかになりました。

久米村ら:腸内細菌学雑誌15:15-20,2001
Lactobacillus plantarum を用いて調製した発酵乳の生理機能I

乳酸菌ラクトバチルス・ブレビスに関する報告

Lactobacillus brevis(ラクトバチルス・ブレビス) KB290を含む発酵乳を摂取した実験では、ビフィズス菌、乳酸菌の数が向上し、有機酸の濃度が増加することが報告されています。また、当植物性乳酸菌は、糞便中からも検出されたことから、生きて大腸まで到達することが明らかになりました。なお、摂取をやめると数日で腸内から自然に消えることも報告されています。

Nobuta et al : International Journal of Probiotics and Prebiotics Vol. 4, No. 4, pp. 263-270, 2009
THE EFFICACY AND THE SAFETY OF LACTOBACILLUS BREVIS KB290 AS A HUMAN PROBIOTICS


両菌株とも、生きて大腸まで到達するようです。腸内におけるビフィズス菌、乳酸菌の増加は便通改善効果が期待できますし、有機酸濃度の増加は腸管のバリア機能向上(免疫アップ)につながります。また摂取をやめれば数日で消える=定着せずに機能を発揮するのであれば、腸内菌叢改善ということには繋がりにくいですが、より安全であると考えることもできます 。

これからも様々な植物性乳酸菌の商品が開発されていくと思います。何気なく手にとった、商品の乳酸菌は一体どこから来たのか?思いをはせてみてはいかがでしょうか?


ライター紹介

中村彰宏

技術士(生物工学)

入社してから15年、発酵大麦エキスの研究一筋。
より幅広い分野でのエキスの可能性を探っています 。

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