7時間睡眠は進化の結果?
7時間から8時間が最適な理由



最適な睡眠時間は7時間から8時間

健康な生活に必要な睡眠時間は7時間から8時間と言われています。少しの時間でよりよく眠る、短時間睡眠の方法は以前からよく考えられてきましたが、結局のところ睡眠時間は減らすことができない、という説が最近では一般的になってきました。

今はまだ日本人の睡眠時間は長くなっていませんが、十分な睡眠時間を確保しようと意識することは重要です。短時間睡眠で高パフォーマンスを求めるよりも(そして休日には午前中を無駄にするよりも!)、毎日7時間は眠るように変わってきたのは、健全で歓迎すべき流れでもあります。

朝7時に起きる人なら夜12時には寝るようにしましょう

同じネズミでも大きく違う?動物の睡眠時間

ところで、私たち人間の睡眠時間はなぜ7時間から8時間なのでしょうか?

草食動物は短め、肉食動物は長め、というような傾向はありますが、睡眠時間は当然ながら動物の種類によって異なります。
類似の動物でも睡眠時間が全く異なることは珍しくありません。

例えば同じネズミ目(げっ歯類)のゴールデンハムスターとデグーでは、睡眠時間は7時間ほどの開きがあります。 ゴールデンハムスターは1日15時間近くの睡眠を取っているのに対して、デグーは全く種類が異なる人間と近い8時間程度の睡眠を取っています。

ゴールデンハムスターはデグーの倍近くの睡眠を取っています

実は短すぎ?人間の睡眠時間

私たち人間は、ニホンザルやヒヒやチンパンジーなどと同じ霊長目に属していますが、やはり他の霊長目の動物の睡眠とは違いがあります。
同じ霊長目のヒヒやチンパンジーは約10時間、南米に住む珍しい夜行性のサル、ヨザルに至っては17時間もの睡眠を取っています。
(Siegel,Nature(2005))

さて、チンパンジーなどに比べると、人間の睡眠時間が短いことにお気づきでしょうか?実は人間の睡眠時間は、他の霊長目に比べてかなり少ないことが示唆されています。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ajpa.23427

この研究は、霊長目の動物30種類の睡眠状況を分析し、人間と他の霊長目の睡眠にどのような違いがみられるかを調査したもの。
体重、脳の大きさ、採食パターン、捕食リスクなどの要素から、種類ごとに理論的な睡眠時間を計算し、実際の睡眠時間と比較しています。睡眠時間は総量だけでなく、レム睡眠とノンレム睡眠に分けてもモデル化されています。
この結果、人間に必要な睡眠時間は合計で9.55時間と計算され、実際の睡眠時間とは大きな差があること、他の霊長目と比較してもこの差が最大であることが明らかになりました。
また、理論的な睡眠時間との差が大きいのは、ノンレム睡眠だけであることもわかりました。

深い睡眠《ノンレム睡眠》だけが短くなった

人類の祖先は、進化の途上で生活の場を樹上から地上に移しています。今後の検証は必須としながらも、研究者は、草原での生活に移行したことで天敵が増えたことや、学習や発明などに費やす時間が増えたことで、ノンレム睡眠の時間だけが減少したのではないかと推測しています。

この研究者の推測が正しいとすれば、私たちの睡眠は、効率化を極めた結果として総時間7時間~8時間に落ち着いた、とも考えられます。これ以上短くしようとするよりも、最も睡眠効率が良い7時間~8時間を、十分に確保できるようにしたいですね。

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