第2の人生に黄色信号?
睡眠の不調に悩む高齢者
睡眠に不調があると、日常生活にも支障が出てしまいます。例えば、眠気のために集中力が無くなってしまったり、やる気が起きなかったり、生き生きとした活動ができませんよね。日本では、高齢者の3人に1人が、睡眠に問題を感じていると報告されています1)。
そしてこの問題は、加齢による睡眠構成の変化が原因といわれています。
睡眠の構成
そもそも睡眠構造とは、どのようなものなのか見ていきましょう。
睡眠にはいくつかの段階があり、大きく分けてレム睡眠とノンレム睡眠に分けられます。
ノンレム睡眠はステージ1~4の4つに分かれています。ステージ1、2は浅い睡眠、ステージ3、4は深い睡眠といわれています。
また、自覚的な睡眠感はステージ2~4の睡眠がある程度持続することが重要だといわれています。
高齢者の睡眠構成
成人以降は、レム睡眠の時間はあまり変わりませんが、ノンレム睡眠の時間や睡眠の合計時間が減少する傾向にあります。
特に50代以降では、深い睡眠であるステージ4がほとんど見られなくなり、ステージ3についても若年層に比べて3分の1程度まで減少してしまいます。
また、就寝中の中途覚醒頻度が多くなり、「昨晩は何度も目が覚めてしまった」と辛い思いをしてしまうこともあるでしょう。
さらに、若年層と比べて生体リズムが変化することで、入眠・起床時刻が早くなったり、日中の眠気が増加してしまいます。
以上のことから、高齢者と若年層の睡眠構成は大きく異なっているといえます。
生活習慣を見直し、快適な睡眠を
睡眠は生活習慣が密接に関わっており、日ごろから以下の点に気を付けることが大切です。
- 規則正しい生活を送り、起床直後に日光に当たることで、生体リズムを整えること。
- 習慣的に運動をすること。激しい運動は逆に睡眠の妨げになるので気を付けましょう。
ギャバで睡眠の質を改善し、活気・活力感をサポート
また、機能性をもつ食品の摂取もおすすめします。ストレスや疲労感を軽減する機能性成分として知られているギャバ(γ-アミノ酪酸)ですが、ギャバの摂取により「活気・活力感の低下を軽減する」「落ち込んだ気分を前向きにする」という報告があります2)。
睡眠に問題を抱えている、あるいはストレスが高いと感じている30~60歳の男女を集め、A、B、2つのグループに分けました。Aグループは体に影響がないもの(デンプン100mg)を摂取してもらうプラセボ群、Bグループは就寝の30~60分前にギャバを100mg摂取してもらうギャバ摂取群としました。
その結果、Aグループ(プラセボ群)に比べ、Bグループ(ギャバ摂取群)には、POMS2というアンケート方式による気分の評価方法(※2)において、「生き生きする」、「活気がわいてくる」、「やる気でいっぱいだ」といった気分を感じた人が多かったのです。つまりギャバでポジティブな気持ちになる可能性が示されました。
※2 POMS2 (Profile of Mood States:気分プロフィール検査)
気分や感情の状態を調査するために開発された方法で、世界的に広く使われています。この方法では、下記の7つの因子についてアンケートによる主観的評価をスコア化します。
【怒り〜敵意】【混乱〜当惑】【抑うつ〜落込み】【疲労〜無気⼒】【緊張〜不安】【活気〜活⼒】【友好】
生活習慣と食生活は、生き生きと活動するための大きなサポートとなります。
ぜひ睡眠の質を高め、青信号で第2の人生を渡っていきたいものですね。
【参考文献】
1)Kitai K et al. An epidemiological study of insomnia among the Japanese general population. Sleep, Volume 23, Issue 1, 1 January 2000
2)Hokazono H.et al.疲労感や睡眠の問題を自覚している勤労者におけるGABA含有食品の気分・感情および睡眠の質に与える影響 薬理と治療,44,1445-1454(2016)
ライター紹介
技術士(生物工学)
研究成果をもとに、製造現場での実用化を担当。
持ち前の機動力を活かします!
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