乳酸菌のフィールドは腸内だけではない?乳酸菌がつくる機能性物質



乳酸菌を見かける機会が増えてきました。最近では乳酸菌飲料やヨーグルトだけでなく、チョコレートや飴などのお菓子、そしてサプリメントに至るまで、様々な乳酸菌食品が販売されています。

乳酸菌は腸内環境を整える効果が有名ですが、それ以外にも様々な機能を持つことが明らかとなってきました。

今回は乳酸菌がつくる機能性物質の一部をご紹介します。

 

 

肌の調子を整える~D-アスパラギン酸

D-アスパラギン酸は日本酒や黒酢などの発酵食品に含まれており、乳酸菌が造っているといわれています。

D-アスパラギン酸を含む玄米黒酢を含む美容ドリンク3か月摂取後のアンケート調査により、「唇の乾燥」・「目の周りのしわ」・「肌のつや」などの改善効果があったことが報告されており、D-アスパラギン酸は肌の調子を整える作用があると考えられます(※1)。

 

※1 「皮膚におけるD-アミノ酸の存在とその生理活性」月刊バイオインダストリー2月号(2011)

 

 

女性ホルモン類似機能~エクオール

大豆に含まれるイソフラボンという成分は、乳酸菌などの腸内細菌によってエクオールという物質に変化します。

エクオールは、女性ホルモンであるエストロゲンと構造が似通っており、エストロゲン受容体と反応し、エストロゲン様の機能を発揮します。

女性は更年期に入ると急激に体内のエクオール濃度が低下することが分かっており、また更年期症状が重い方は尿中のエクオール量が少ないという結果もあります(※2)。

エクオールと更年期症状には何らかの関係性があるといえるでしょう。

 

※2  「日本人女性における大豆イソフラボンおよびエクオールと更年期症状の関係に関する調査研究」日本更年期医学会雑誌 15,28-37(2007)

 

 

認知機能改善~CS19ペプチド

CS19ペプチドの摂取は、物忘れの自覚症状のある50~70歳の集中力・短期記憶・認知機能を改善したという報告があります(※3)。

この試験は、高次脳機能障害(病気や、事故によって脳が損傷されたために、認知機能に障害が起きた状態)等を短時間で簡便に評価できる神経心理テストであるアーバンス神経心理テストを用いて評価を行っています。

 

※3 Lactobacillus helveticus-fermented milk containing lactononadecapeptide (NIPPLTQTPVVVPPFLQPE)  improves cognitive function in healthy middle-aged adults: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial Int J Food SciNutr., 69(3),369-376(2018)

 

また動物試験において、CS19ペプチドの摂取はアルツハイマー型モデルマウスの記憶障害を抑制したという報告もあります(※4)。

 

※4 Identification of peptides present in sour milk whey that ameliorate scopolamine-induced memory impairment in mice Int J Food SciNutr., 69(1),33-45(2018)

 

 

以上の結果から、CS19ペプチドは記憶機能の向上に役立つ可能性があります。

 

これらは乳酸菌が造る機能性物質のごく一部であり、これら以外にも数多くの機能性物質の研究が進んでいます。

また、私たちが日ごろから食べている乳酸菌食品にまだ見つかっていない機能性物質が含まれている可能性もあり、そう考えるとなんだかワクワクしてきますね。

今後より一層乳酸菌の研究が進み、私たちのQOLの向上に繋がっていくといいですね。

 

 


ライター紹介

辛島(からしま)

技術士の卵です。目下勉強中。研究成果をもとに、製造現場での実用化を担当。
新入りですが、機動力でカバーします!

 

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