女性が貧血になりやすい原因
病気には、かかりやすさに男女で差がある病気があります。例えば痛風は男女差が非常に大きく、男性98.5%に対して女性1.5%(1992年の調査)と圧倒的な差があります。
ここまで大きな差はなくても、糖尿病患者は男性の方が多かったり、関節リュウマチは女性の方が多かったりと、性別がかかりやすさを決めている病気は結構あります。
貧血もそんな病気の1つ。貧血は女性に多く見られます。
貧血になるとどうなる?
貧血とは血液が薄い状態のことを言います。血液は体中に酸素を運ぶ働きがあるので、貧血の状態は、簡単に言えば全身が酸欠になっているということです。
全身の酸欠ですので、症状も全身に表れます。頭痛、めまい、疲労感、倦怠感、無気力感、肩こり、動機、息切れ、食欲不振、悪寒、爪の異常、抜け毛、肌荒れ、むくみなど、とてもたくさんの症状が貧血の症状として挙げられます。
ただし、慢性的に貧血状態が続くと、体は酸欠の状態に慣れてしまい、症状を全く感じない人の方が多いかもしれません。自分は健康そのもの!と思っていても実は貧血だった、ということはよくあります。
貧血かどうかを決める医学的な指標は3つありますが、通常はその中でも血液中のヘモグロビン濃度によって貧血かどうかが判断されます。
血中のヘモグロビン量の基準は、諸説あるものの、男性で13~17g/dl、女性で12~16g/dl程度となっています。
貧血が女性に多い理由
貧血は原因によっていくつかの種類がありますが、女性に見られる貧血の多くは、鉄分が不足するために起こる鉄欠乏性貧血です。
鉄分は、血液中の赤血球を作るための主要な材料です。材料の鉄分が足りないため、血液が十分に作られず、貧血になってしまう女性が多いのです。
なぜ鉄分が足りなくなるかというと、女性に特有の月経が大きく影響しています。
月経の影響
10代の半ばごろから50歳くらいまで、多くの女性には1か月に1週間程度、月経があります。
月経中に出ていく血液は、妊娠した場合に受精卵を受け止め、胎盤ができるまでの赤ちゃんの栄養になるものです。月経として出ていった分は、鉄分などを材料として、次の月経までに作ることになります。
つまり、月経でないときも含め、女性の体には常に十分な鉄分が必要になります。
成人女性の場合、1日に取っておきたい鉄分の量は10.5mgですが、これは同年代の男性に比べても1~3mg多くなっています。
他の栄養素の場合、体が大きく活動量も多い男性の方が、より多く必要になるものが多いので、鉄分は特殊な栄養素と言えるでしょう。
男性よりたくさんの鉄分が必要であるにも関わらず、女性が1日に必要なエネルギー量は男性よりも600kcal~700kcalほど少なめ。体が小さい分、食べられる量にも差があります。
男性よりも少ない食事で、男性よりも多くの鉄分を取らなければならない体の仕組みが、女性の鉄分不足に大きく影響しています。
貧血の予防は、まず食事に気を付けるところから始めましょう。鉄分が豊富な食材といえばレバーですが、肉類、魚類にも多く含まれます。
小松菜やほうれん草などの野菜でも鉄分が多いものがありますが、植物性食品と動物性食品に含まれる鉄分は性質が異なるので、吸収率に勝る動物性食品を、ぜひしっかり食べていきたいですね。