鶏肉はピンク、牛肉は赤。肉によって色が違うのはなぜ?
突然ですが、これが何の肉か、わかりますか?
そう、豚肉です。多くの方はこれが豚肉だとわかったと思いますが、なぜわかったのでしょうか。
形、切り方、脂身の付き方など、目の前にある生肉が何の肉かを判断するポイントはいくつかありますが、肉の色もそれが何肉かを判断する大きなポイントになっているはず。
鶏肉は赤みがかった薄いピンク色、豚肉はそれよりは濃いピンク色、牛肉は赤色をしています。動物の種類は違えど、肉は肉です。なぜ色が違うのでしょうか。
肉の色はなぜ赤い?
色の濃い薄いはあるものの、そもそも多くの肉はピンク~赤色をしています。大きな怪我をしたことがある人ならわかるかもしれませんが、人間も皮膚の内側は赤っぽい色をしていますね。なぜどの動物も赤っぽい色なのでしょうか。
赤色なので、ひょっとして血の成分が染み込んでいるとか?と思ってしまいそうですが、もちろんそうではありません。
私たちが肉として食べているのは動物の筋肉。筋肉の細胞内に含まれるタンパク質が赤色をしているため、肉は赤っぽく見えるのです。
筋肉に含まれる赤いタンパク質は、ミオグロビンといいます。ミオグロビンには、タンパク質の材料であるアミノ酸とは別に、「ヘム」という構造が含まれていて、この「ヘム」が赤色の要素になっています。
ちなみに、血液中にあって酸素を運ぶ役割を持つ「ヘモグロビン」というタンパク質も、「ヘム」を含んでいるため赤く見えます。肉の赤色は血液が染み込んだものではありませんが、血液も肉もにも含まれる「ヘム」が赤く見せている、ということになりますね。
動物によって赤色の濃さに違いがあるのはなぜ?
どのような動物でも、肉を赤っぽく見せているのは同じミオグロビンですが、鶏、豚、牛の肉の色はそれぞれ違います。この色の違いは、動物の種類によって、筋肉に含まれるミオグロビンの量に違いがあるからです。
鶏や豚のミオグロビン量に比べると、牛はミオグロビン量が多いため、肉の色が濃くなるのです。
また、同じ鶏肉でも、胸肉は淡いピンク色なのに対して、もも肉はもう少し濃い色をしているなど、部位によっても色が違います。これは、部位によって運動量が異なることから来ています。
ミオグロビンは、筋肉の中で酸素貯蔵庫としての役割を持っていて、筋肉はミオグロビンから酸素を得て動いています。よく使う筋肉にはたくさんの酸素が必要なので、ミオグロビン量が多く、肉の色も濃くなります。
例えばニワトリの場合、飛ぶことはないため、羽を動かす筋肉(胸肉)はあまり動かしません。一方で、脚の筋肉(もも肉)はよく動かしているので、より多くのミオグロビンが必要であり、肉色も濃くなっています
筋肉に必要な酸素の量でミオグロビン量が決まることは、水生の哺乳類の肉を見るとよくわかります。クジラやイルカやアザラシなど、長時間潜水する動物は、陸上の動物よりもより多くの酸素を貯蔵できなければ生きていけません。
ときに数十分という長さで潜水するクジラやイルカの肉は、黒に近い暗赤色をしています。
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